座り過ぎは乳がんのリスクを上げる?
今や女性の9人に1人が乳がんにかかるといわれる時代。
女性にとって乳がんは身近ながんのひとつです。
その乳がんのリスクについて、気になる研究データが発表されました。
運動習慣があっても座り過ぎでリスク上昇
乳がんのリスクを上げるものとして、初経年齢が早い、閉経年齢が遅い、出産歴がない、初産年齢が遅い、授乳歴がない、喫煙、飲酒などさまざまなものが知られていますが、京都府立医科大学の研究チームの調査によって、意外なものがリスクになることがわかりました。
それが「座りすぎ」です。
座っている時間が1日に7時間以上ある女性は、乳がんを発症するリスクが上昇することが、35歳~69歳の女性約3万6千人を対象とした大規模調査であきらかになりました。
追跡調査を行っている間に乳がんと診断された女性は545人に上るといいます。乳がん患者554人を含む対象者全員の運動習慣などを比較した結果、1日7時間以上座っている人はそうでない人に比べて乳がんの発症リスクが36%高かったそうです。
しかも、1日に7時間以上座っている女性は「1日1時間以上の歩行」「余暇に週3回の運動」など日ごろ運動をしていても、7時間未満の人より乳がんリスクが高かったそうです。
運動習慣があるから大丈夫と安心はできません。
デスクワークやリモートワークの人は要注意
今回あらたにわかった「座り過ぎ」が招く乳がんリスク。
初経年齢が早い、閉経年齢が早いないなど自分ではどうしようもできない乳がんリスクもありますが、座りっぱなしのリスクは自分の心がけ次第で遠ざけられるものです。
デスクワークやリモートワークの人は、ついつい座っている時間が長くなりがちなので注意したいですね。
こまめに立ち上がって動き回ろう!
ところで、海外の研究機関の調査によると、日本人の成人が平日に座っている時間が世界20カ国中もっとも長い1日420分=7時間だそうですよ。
日本人は世界でいちばん座位時間が長いのです。さらに、座っている時間が長いほど健康リスクや死亡リスクが上がる研究結果も次々と報告されており、メンタルヘルスにも影響を与えるともいわれています。
乳がんだけの問題ではなく、心と体の健康を保つためには、座りっぱなしの状態をできるだけ避けることが重要なようです。
ちなみに30分に1回立ち上がり動くと、座りすぎによる健康リスクを軽減するといわれています。
お茶や水を飲みに行く、トイレに行く、オフィスであればこまめにコピーや資料をとりに行くなど少しでも良いので、立ち上がって動く頻度を多くすることをおすすめします。
なお、スマホで使える「座りすぎ防止アプリ」もいくつかあるので、自分に合ったものを探して活用するのもいいですね。
<参考>
※Press Release「座りすぎに注意! 1日7時間以上座っていると乳がんリスクが上昇!」(京都府立医科大学)
※「女性の乳がん追跡調査 座り過ぎだと高いリスク」(東京新聞/2024.1.24)