
そのイライラ、朝食抜きが原因では?
なんだか朝から頭がボーッとする、仕事に集中できない、といったことありませんか?
もしかして、それって朝ごはんを食べないことが原因かも……。
1日のはじまりは朝食からといいます。毎日、食べていますか?
朝食抜きで脳はエネルギー不足に!
朝、職場に行ってもイライラしたり、パソコンに向かっても集中できず、仕事がはかどらないといったときは(二日酔いは別にして)、まず、朝ごはんを食べないことによる脳のエネルギー不足を疑ったほうがよさそうです。
脳の活動は、ブドウ糖をほぼ唯一のエネルギー源にしているといわれます。
ブドウ糖とは、糖質が体内で吸収される際に消化管で分解された栄養素のことで、一般名でグルコース(glucose)と呼ばれます。
そんなブドウ糖ですが、体内に多くを貯めておくことができないといいます。朝、目覚めたとき大抵の人は空腹で、それはいわばブドウ糖のたくわえがない状態。朝ごはんを食べないと脳はブドウ糖不足、エネルギー不足におちいってしまうというわけです。
朝ごはんを食べないと集中力が低下したり、イライラ感がつのったりするのはそうした理由からといわれます。
4人に1人は「朝ごはんを食べない」
朝食問題について特に心配なのは若い世代。彼らは毎朝、きちんと朝ごはんを食べているのでしょうか?
農林水産省の「食習慣に関する意識調査(2019年)」によると、朝食を「ほとんど毎日食べる」人は56.4%で半数を超えますが、逆に「ほとんど食べない」人は23.1%で約4人に1人は朝食抜きでした。「週に4~5日食べる」が12.5%、「週に2~3日食べる」は8.1%でした。
朝ごはんの内容はかなり偏っていて、主食(ごはんやパンなど)のみですませている人が57.5%(内訳/ごはん36.7%、パン31.6%、菓子パン9.5%、惣菜パン4.2%、麺類3.3%など)もいました。
主食だけの朝食では、エネエルギーは補えたとしても栄養不足は否めません。
主食に主菜(肉や魚、卵、大豆類などのおかず)と副菜(野菜がメインのおかず)を加えた食事をしている人はわずか3.8%。
牛乳やジュースなどの飲み物だけ、または果物だけですませる人もいました(4.7%)。
この調査で「朝食を食べるのは健康によい」と6割以上の人が回答しているにもかかわらず、その内容は「健康的」とはいい難いようです。
朝食は「ごはんがオススメ」の、なぜ?
「朝食には米のごはんがいちばん」とよくいわれます。なぜでしょう?
農林水産省によれば、米のごはんは「粒食」なので、よく噛む必要があり、ゆっくり食べることで消化・吸収が緩やか。また米には食物繊維が含まれていることなどもあって、血糖値の急激な上昇をおさえることができるといいます。
「粉食」のパンよりも腹もちもいいので、脳へのエネルギーとなるブドウ糖の安定した供給が見込めるのだそうです。
日本の食事では「一汁三菜」とよくいいます。主食のごはん(米)に、みそ汁などの汁物、おかずとなる肉や魚などの主菜、野菜や海藻、イモ類、キノコ類などの副菜2品のことです。
こうした「一汁三菜」の食事を1日に2回以上食べる日が、週に何日あるかについて、農水省が20歳以上の男女を対象に実施した「食育に関する意識調査(2025年)」によると、「ほぼ毎日」が36.8%、「週に4~5日」は24.6%、「週に2~3日」が25.8%、「ほとんどない」が12.3%でした。
若い世代(20~39歳)に限ると、「ほぼ毎日」23.3%、「週に4~5日」19.8%、「週に2~3日」33.8%、「ほとんどない」23.1%でした。
朝ごはんを食べると、どんないいことが?
朝ごはんは1日をイキイキと過ごすためには大切です。「朝食で1日のスイッチを入れる」ともいわれます。
どんないいことがあるのでしょうか?
(1)脳のエネルギー源のブドウ糖が補給され、脳が活性化して集中力が高まる。
(2)体温が上がり、体を目覚めさせ、体内時計がリセットされて生活リズムが整う。(3)食べることで胃腸が刺激されスムーズな排便が促される。
(4)空腹による昼食での食べ過ぎを防ぎ、肥満が予防できる。
(5)よく噛むことで脳内伝達物質のセロトニンの分泌が促され、ストレスやイライラを軽減、意欲が高まる。
(6)朝食抜きによる栄養の偏りを防げる
……などが期待できるといいます。
朝ごはんをおいしく食べるためには、なんといっても早寝早起きの規則正しい生活。起床から外出までの時間が1時間未満の人の3割が朝食を「ほとんど食べない」という農水省の食習慣に関する調査結果もあります。
「早起きは三文の徳」という古来よりの諺は、いまも健在のようです。
<参考>
*「若い世代の食事習慣に関する調査(2019年)」「食育に関する意識報告書(令和7年3月)」「お米と健康・食生活」(農林水産省)
*「朝ごはんはなぜ大切?子どもに伝えたい重要性や必要な栄養素」(ベネッセ教育情報サイト)