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蚊とのたたかいは、まだ続く?

夏が終わっても蚊とのたたかいは終わっていなかったようです。

例年なら涼やかな風の訪れとともに蚊の活動も弱まってくるらしいのですが、暑さに終わりの見えない今、これからが蚊の活動の本番なのだとか。どうする?

 

蚊は「人類の最大の敵」?

 わずか0.08ミリともいわれる極細の針を武器に、果敢に人間に挑んでくる蚊。人類にとって「もっとも危険な生き物」「最大の敵」などといわれています。

ワニでもライオンでもサメでもクマでもない、体長わずか数ミリ程度の小さな蚊! が地球上でもっとも多くの人間の命を奪っているというのです。

 WHO(世界保健機関)などの報告によれば、世界で年間に約60万人が蚊の媒介する感染症によって死亡しているそうです。ちなみに2番目に危険な生き物は?……人間だそうです。

とても悲しいことですが、年間40万人以上の命が人間の手によって奪われているといわれています。

 そんな人間以上に恐ろしい蚊ですが、蚊自体に殺傷能力があるわけではなく、マラリアなど、さまざまな病原体を媒介して、人間を死に至らしめるといわれます。

 

猛暑のせいで蚊も夏バテする?

 日本国内に生息する蚊は100種類ほどといわれますが、そのなかでもなじみのあるのは、ヤブカとよくいわれるヒトスジシマカと、イエカ属のアカイエカがよく知られています。

これらの蚊は、活発に活動できる気温や時間帯がそれぞれ違っているようで、木陰や草むらなどに生息するヒトスジシマカの場合は、気温が25℃~30℃を好み、明け方から昼前、夕方に活発になるそうです。

また、アカイエカは気温20℃~30℃を好み、文字通り家の中に侵入して、夕方から明け方にかけて活動が活発になるそうです。

近年は「猛暑」が当たり前。蚊に刺されることが少なくなったと感じる人も多いのでは。

実は蚊は35℃前後といった、気温が高いほど活動が鈍くなるのだそうです。

猛暑による蚊の夏バテといった感じでしょうか。

 

蚊の活動期は、まだまだ続く?

 かつては蚊の発生のピークは8月といわれ、涼しくなり始める9月には蚊も減ってくるというのが一般的でした。

しかし最近は9月に入っても気温が35℃越えもめずらしくないことから、蚊の活動は、10月はもちろん11月まで続きそうという予測もあり、蚊への対策が必要な時期は長引くのではないかといわれています。

 暑いから蚊がいなくなったわけではなく、暑いときは草陰や木陰、ヤブの中などでじっとおとなしく過ごして、気温が下がってくると、蚊はまた活発に動き出すようです。

暑さもしだいに和らぎ始める時期は、人間が過ごしやすいと同時に、蚊にとっても活発に行動できる好機。蚊への備えは、これからが本番かもしれません。あらためて蚊に刺されない対策を確認してみましょう。

 

蚊は濃い色を好み、風が苦手?

 蚊は色を識別できるといわれていて、黒や紺、茶など濃い色を好むようです。外出するときは、白や黄色など薄い色の衣服を心がけて。

外で活動するときは長袖、長ズボン、足首まで隠れる長いソックスなど、肌の露出が少ないデザインがおすすめといいます。

また、衣服は刺されても蚊の針が肌まで貫通しないように、ゆったりとしたものが有効だそうです。

 虫除けスプレーは、ただ肌に吹き付けるだけでなく、スプレーしたあと手のひらで塗り残しがないように塗り広げるのがより効果的だそうです。

足の裏を除菌用ウェットテッシュで拭くのも足の蚊よけになるといいます。

 家の周囲、特に日陰にバケツ、植木鉢の受け皿など、水の入った容器や使っていないタイヤなど、蚊の幼虫が発生しやすいものがないか確認を。

 また、蚊は強い風が苦手。蚊の感知能力がマヒするのだそうです。

家の中では扇風機を回しておくのが効果的といいます。外出時はうちわやハンディファンも蚊除けによさそうです。

 

蚊に刺されやすい人って、どんな人?

 蚊は、汗に含まれる乳酸のほか、熱や二酸化炭素を感知する能力が高いといわれます。とくに運動したあとは要注意。体がほてり、汗をたくさんかき、呼吸は早くなるので二酸化炭素も多く吐き出します。

同様に飲酒や二日酔いのときも蚊の餌食になる確率が高まるそうです。

赤ちゃんや子ども、妊娠中の女性も体温が高くなりがちなことから、蚊に刺されやすくなるといわれます。

 蚊は、部屋からの人間の出入りの隙を狙って室内に入ってくることが多いそうです。明るい昼間はベッドの下やテーブルの裏など、見えにくい場所に隠れて、夜に備えているようです。

そして、深夜の薄暗がりの部屋、どこからともなく聞こえる、キィ~ンという神経をいらだたせる微かな音……寝入り端を襲うアカイエカの羽ばたき! 寝ている間に刺されることが多いようです。

「人類の最大の敵」に大事な睡眠をじゃまされないためにも、就寝前に蚊取り用グッズでしっかり対策をしておくのがいいようです。

 

<参考>

*「注意すべき蚊による感染症」(愛知県衛生研究所)

*「デング熱などの感染症を媒介 かゆいだけじゃない! 蚊のリスク 対策は?」「蚊に刺されない方法 ポイントは?(NHK)

*「蚊を知る 害虫を知る」(アース製薬株式会社)

*「蚊の発生と気温・気候の関係。蚊は冬に本当に出ないの?」(フマキラー株式会社)

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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