プラスコラム
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歯間ブラシの使い方に注意

歯ブラシでは届かない歯と歯の間の歯垢を除去するのに有効な歯間ブラシ。

その歯間ブラシの使い方を誤って事故を起こすケースが少なくないようです。

 

 

歯垢は歯ブラシだけでは取り切れない?

 歯に付着する細菌の塊である歯垢(プラーク)は、虫歯や歯周病の主な原因として知られています。

虫歯や歯周病は歯を失う大きな原因ですから、毎日の歯磨きでしっかり歯垢を取りたいですね。

けれども、歯と歯の間にたまる歯垢は、歯ブラシだけでは約6割しか取れないといわれています。

しかし歯ブラシと合わせて、歯間ブラシとデンタルフロスを使用すると、歯垢の8割から9割まで効果的に除去することができるそうです。

 

歯間ブラシの使い方に注意!

デンタルフロスや歯間ブラシは歯垢の除去に効果的ですが、気になるのが歯間ブラシの使い方です。

 東京都が都内歯科診療所の受診者に行ったアンケートによると、歯間ブラシを使用したことがある253人のうち約半数が使用中に何らかの危険な経験をしたことがあると回答しています。

「危険な経験」でもっとも多かったのが「歯茎を傷つけたことがある(26.5%)」という回答。次いで(歯間ブラシが)「折れて歯から抜けなくなった(15.4%)」「折れてブラシ部分がなくなった(7.5%)」と続き、なかには「折れて飲み込んだ(0.8%)」という心配な回答もありました。

 

誤った使い方が原因

 では「危険な経験」はどのような状況で起きたのでしょうか。

アンケートによると、「ブラシの金属部分を曲げて使ったから(35.1%) 」が最も多く、「推奨する使用期間を過ぎても使用していたから(25.8%)」、「サイズが合わなかったから(21.6%)」と続きます。

歯間ブラシの金属部分を曲げ伸ばして使ったり、劣化しても使い続けたり、歯間に合わないサイズのものを無理に挿入して使うなど、誤った使い方が事故につながっているようです。歯間ブラシを使うときには、製品に記載されている「使用上の注意」をよく読んで使いたいですね。

 

効果的に安全に使うためには……

 東京都では、歯間ブラシの事故を防ぐポイントとして、以下の注意を呼びかけています。

(1)無理に挿入しない

サイズに合わない太い歯間ブラシは、歯茎を痛めたり、ブラシが破損する原因となる。適切なサイズの歯間ブラシを選択し、垂直にゆっくりと挿入し、細かく前後に動かして使用する。歯間ブラシが入らない場合は、デンタルフロス等を使用する。

(2)金属部分が曲がったら交換

 I字型(ストレートタイプ)の歯間ブラシを奥歯に使うときには、プラスチック部分をから指で折り曲げて使用する。

歯間ブラシの金属部分(ワイヤーの根元)を折り曲げて使うと破損につながる。金属部分が曲がってしまった場合は、速やかに交換する。

(3)注意書きをよく読む

 上記の注意点も含め、製品に記載されている注意書きを使用前によく読む。

使用上の不安を感じたときには歯科医等に相談する。

 

定期的な交換を心がけよう

 東京都のリーフレットでは、歯間ブラシは1週間から10日を目安に定期的に交換するとよいとしています。

 なお、歯ブラシの交換についても1か月に1回が目安だといわれています。

ずっと使い続けていると徐々に歯磨きの効果が低下するそうです。また歯ブラシの毛先が開いてくると歯や歯茎を傷つける可能性もあるそうです。また古い歯ブラシは雑菌が繁殖しやすくなるともいわれています。

歯ブラシや歯間ブラシを含むお口のお掃除グッズは、「まだ使えるかな」と思っても定期的な交換を心がけて、安全に衛生的に、そして効果的に使いたいものですね。

 

<参考>

※「歯間ブラシの安全性に関する調査(アンケート)(東京都生活文化スポーツ局 令和6年6月)

※「歯間ブラシの破損、誤飲に注意!」(東京くらしWEB)

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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