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ラーメンの食べ過ぎは死亡リスクを高める?

今や世界的にも大人気のラーメン。みなさんはどのくらいの頻度で食べますか? 

週に何回も食べる人は死亡のリスクが高いという研究結果が、このほど公表されました。ラーメン好きにはとても気になります。

 

「ラーメン好き」に命の危険が?

今では日本人の「国民食」とまでいわれるようになったラーメン。

「朝ラー」(朝からラーメンを食べる)も人気のようで、なかには1日3食ともラーメンという剛毅な方も少なからずいらっしゃることでしょう。

 そんななか山形大学と県立米沢栄養大学の共同研究チームが、40代~70代の男女6,700人余りを対象に調査した結果、ラーメンを過剰に摂取すると死亡リスクが高まる傾向にあることが分かったといいます。

研究チームはラーメンの摂取頻度を「月1回未満」「月1~3回」「週1~2回」「週3回以上」の4段階に分類。死亡率との関連を追跡調査した結果、ラーメンを「週3回以上」食べる人は、「週1~2回」食べる人より死亡リスクが1.52倍高いことが分かったといいます。

また、「月1回未満」でも死亡リスクが1.43倍高い傾向がみられたともいいます。

ただし、研究チームによれば、これらはいずれも「傾向であって断定はできない」としています。

 

ラーメンを頻繁に食べる人の特徴は?

 さらに年齢が70歳未満では「週3回以上」食べる人は、「週1~2回」食べる人の2.20倍も死亡リスクが高い傾向がみられたそうです。

こうした高リスクの傾向は、「飲酒の習慣」がある人で2.71倍だったほか、ラーメンのスープを「半分以上飲む」、さらに「男性」などで顕著だったといいます。

また、ラーメンを「週3回以上」頻繁に食べる人に特徴的なのは、塩分の取り過ぎの傾向があること、喫煙や飲酒といった生活習慣のほか、高いBMI(体格指数)、高血圧、糖尿病などとの関連がみられたということです。

ちなみに総務省の家計調査(2024年)によれば、山形県は3年連続でラーメンの消費量が日本一に輝いた知る人ぞ知るラーメン王国。今回の研究結果に県民は、複雑な思いを抱いているかもしれません。

 

ラーメン1杯で塩分量は1日分?

ただ、いうまでもないことですが、ラーメンを食べることが即危険というわけではありません。研究チームは『ラーメンと健康について』とするQ &Aの資料を公開して、ラーメンの食べ方、楽しみ方を紹介しています。

 それによれば、食べる回数を控えめにする、スープを全部飲み干さず残す、野菜や魚など他の食事で栄養バランスをとる、塩分の取りすぎに注意するなど、ラーメン以外での日常生活の工夫も大切といいます。

 ちなみにラーメンに含まれる塩分量は1杯当たり平均で約6gといわれます。これは厚生労働省の目標量である1日に男性7.5g未満、女性6.5g未満にほぼ匹敵します。「ラーメン食べてもスープは残す」理由はこの塩分の多さにあるようです。

 中小企業基盤整備機構の調査(ラーメン店の利用状況/2023年)によると、「(ラーメン店を)年に数回程度利用する」が44.7%でいちばん多く、以下、「月に1回程度」が24.5%、「月に2、3回程度」が11.2%、「週に1回程度」は3.8%、「週に2、3回程度」が1.1%などでした。

「自分の体はラーメンでできている」と豪語する方もいらっしゃるでしょうが、食べ過ぎにはくれぐれもご注意ください。

 

<参考>

*「【プレスリリース】ラーメンの過剰摂取が一部の人々の死亡リスクを高める可能性―山形コホート研究」(山形大学・山形県立米沢栄養大学)

*「ラーメン週3 リスク高い?」(東京新聞/2025.8.24)

*「ラーメン大好きダメ? 週3回以上で死亡リスク高く」(毎日新聞/2025.8.24)

*「ラーメン店(2023年版)市場調査データ」(独立行政法人中小企業基盤整備機構/J-Net21【中小企業ビジネス支援サイト】)

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。