プラスコラム
PLUS COLUMN

歯ブラシだけのケアでは不十分?

歯の健康が全身の健康につながることから、近年は予防歯科に注目が集まっています。

セルフケアは歯磨きがいちばんのポイントになりますが、歯ブラシだけでは十分に汚れをおとすことが難しいといいます。歯ブラシにプラスアルファしたいケアとは?

 

歯ブラシだけでは歯周病のリスクを下げられない

 仕事に家事に忙しい毎日。忙しさにかまけて歯や歯ぐきのケアを怠っていませんか?

歯を失う原因となるのが虫歯と歯周病。50代以降は歯周病などで歯を失う人が増えてくるといわれています。

 予防はなんといっても歯磨きが基本。とくに歯周病は磨き残しを20%以下に抑えると、歯周病のリスクを下げるといわれています。

 つまり磨き残し(プラーク/歯に付着した細菌が繁殖したかたまりのこと)があればあるほど、歯周病になるリスクが高まることになります。

「ちゃんとブラッシングしているから大丈夫」――そんな声が聞こえてきそうですが、実は歯ブラシだけでは不十分で、磨き残しを20%以下にすることができないといわれています。

 

歯と歯の間のプラーク除去が大事

 ある報告によると、歯ブラシだけで除去できるプラークは60%程度だそうです。歯ブラシだけでは、歯と歯の間に付着したプラークを十分に落とすことができないからです。

そこで、歯ブラシに加えてデンタルフロスを用いるとプラークの除去率は79%に、歯ブラシに加えて歯間ブラシとデンタルフロスを併せて用いると除去率は約85%まで向上するといいます。

 磨き残しを減らすには、歯と歯のすき間の汚れをしっかりと取ることが重要なのです。

 

歯ブラシと歯間ケアの合わせ技で!

 歯と歯の間の汚れをとるケア用品には、下記があります。

・歯間ブラシ

 歯の根元の三角形のすき間などに使う専用ブラシ。いろいろなサイズがあります。

 

・デンタルフロス

歯と歯のすき間に挿入してプラークを除去する細い糸状の清掃用具。糸巻タイプとホルダータイプがあります。

 

ほかに、ふつうの歯ブラシよりもヘッドの部分がとても小さなワンタフトブラシがあります。

奥歯の外側や歯並びが悪い部分など、プラークがたまりやすい部分にピンポイントで当てて磨きます。

 いずれのケア用品も、自己流で行うとも充分な効果が期待できず、かえって歯ぐきを傷めることもあるそうです。歯ブラシの仕方と同様に正しい使い方を歯科衛生士さんに教わって効果的に使いましょう。

 なお、歯間ブラシやデンタルフロスなどを使った歯磨きは、最低毎晩寝る前に1回でもいいから行うとよいそうです。

寝ている間は唾液の分泌量が減って、口の中に細菌が増えやすい環境になります。だからこそ寝る前はていねいな歯磨きが必要なのです。

 それでもセルフケアだけではすべてのプラークを落とすことができません。

セルフケアと併せて歯科で歯のクリーニングや定期検診を受けて、いつまでも健康な歯を保ちたいものですね。

 

<参考>

※「歯を残して命を守る」(『今日の健康』NHK出版 2022年12月号)

※『お口は万病の元』(公益財団法人 8020推進財団)

※「働き盛りのお口の健康」(公益財団法人 8020推進財団)

 

 

 

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。