プラスコラム
PLUS COLUMN

更年期のダイエット

コートを脱いで、薄着の季節になってくると、気になるのが体のライン。ダイエットを決意している人も多いのではないでしょうか?

でも更年期世代になると「太りやすく、やせない」という声を多く聞きます。

今回は更年期世代のダイエットについて考えてみました。

 

女性ホルモンと肥満の関係

 更年期世代は、じわじわと体重が増えて、コレステロールも上がりやすくなります。

 その大きな理由が、女性ホルモンの影響だといわれています。

女性ホルモンのエストロゲンは、脂肪の燃焼を促す働きがあることが知られていますから、エストロゲンが減少する更年期からは、脂肪がつきやすい体になるといわれています。

 

更年期からは太り方も変わる

 また、若い頃とは太り方も変わります。

更年期からは、皮下脂肪よりも内臓脂肪がつきやすくなり、生活習慣病が起こりやすくなるそうです。さらに、閉経後の肥満は乳がんのリスクを上げてしまうで要注意。

 更年期の肥満は、見た目の問題だけでなく、健康にも大きな影響が現れてくるのです。

 

若い頃と同じように食べているのに、なぜ太る?

 減ってくるのは女性ホルモンだけではありません。

女性ホルモンと共に基礎代謝量も加齢に伴って減っていきます。

基礎代謝量とは、とくに運動をしなくても消費されるエネルギー量のこと。

更年期世代は、基礎代謝量が減っている上に活動量も低下しがち。若い頃と同じように食べていると、どんどん太ってしまうのです。

「そんなに食べていないのに太る」というのは、こうした要因が大きく影響していると考えられます。

 

自粛生活が肥満を加速

 また「コロナ太り」という言葉があるように、新型コロナウイルスの流行により、自粛生活が増えたことも、肥満を加速させる一因に。

 通勤時になるべく階段を使ったり歩く努力をしていた人も、在宅勤務になったことで、体を動かすことが少なくなりました。

さらに在宅ストレスや将来に対する不安やイライラから、過食に走る人も少なくないようです。

在宅の場合は、誰の目も気にせずに食べられるので、過食に拍車がかかってしまう人も少なくないようです。

 

「食べないダイエット」がダメなわけ

 それでなくても太りやすい更年期世代は、エネルギーのとり過ぎに注意が必要です。

けれども、気を付けたいのがダイエットの仕方です。

「食べないダイエット」をしていると、体に必要な栄養素が不足して、骨と筋肉がやせてしまう危険があるそうなのです。

 更年期以降の女性は骨粗しょう症になりやすいことが知られていますが、無理なダイエットをすることで、骨粗しょう症のリスクがさらに上がってしまうことに。

また、筋肉量が減ると、ますます基礎代謝量も減ってかえって太りやすい体質になるといわれています。

食事は良質なたんぱく質をとって、カルシウムやビタミンD、ビタミンKなどの栄養素もしっかりとることが重要だといわれています。

 

健康的にきれいにやせよう!

 専門家は、食事制限による無理なダイエットは避けて、運動不足の解消を中心に肥満解消を行うことをすすめています。

 筋肉量を増やすことで、基礎代謝量をアップさせ、やせやすいからだをつくることができるといいます。

 たとえば、在宅勤務の人なら通勤に費やしていた時間をウォーキングにあてたり、休憩時間にちょっとした筋トレを行うなど、体を動かしてみませんか?

ずっとパソコンに向かっているよりも、こんなふうにメリハリをつけると、仕事の能率もあがりそうです。

また、目に付くところに食べ物やお菓子を置かない、食後はすぐに歯磨きをするといった、食べ過ぎ防止の工夫も必要です。

 やみくもに体重を減らすのではなく、運動とバランスの良い食事で、健康的にきれいにやせたいものですね。

 

<参考>

*「コロナ太りにご用心! ステイホームの落とし穴」(NHK出版『きょうの健康』2021年2月号)

*「更年期とコレステロール」(女子栄養大学出版部『栄養と料理』2020年8月号)

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。