若くても高血圧の可能性あり?
「高血圧」というと中高年の問題と思われがちですが、20~30歳代の若い世代でも高血圧は人ごとではないようです。
5月17日は「世界高血圧デー」。この機会に高血圧についてあらためて考えてみませんか。
高血圧は患者数がもっとも多い「国民病」
「サイレントキラー」などという恐ろしげな名称をいただいている高血圧。
ほとんど自覚症状がないまま静かに忍び寄り、放っておくと血管が硬く狭くなるなど動脈硬化が進行して、心疾患や脳卒中、腎臓病などの命にかかわる重大な病気になる危険が高まるといいます。
高血圧が原因によるこうした病気で、年間に10万人以上の人が亡くなるともいわれます。
高血圧(140/90mmHg以上)の患者は4,000万人以上と推定されています。
治療を受けている人はそのうち2割程度だそうで、残り8割の中には治療を受けていない人や自分が高血圧であることを知らない人も含まれているということです。
若い世代にも増えている高血圧
高血圧は60歳以上の人が60%以上を占めているといいますから、高血圧が高齢者の疾患という認識は間違っていないのですが、近年、若い世代にも高血圧が増えているともいわれます。
「国民健康・栄養調査 令和元年」(厚生労働省)によると、20歳代の高血圧の割合は、男性が7.1%、女性は0%、30歳代では男性が6.3%、女性3.3%でした。
また、別の調査によると20歳代の男性で100万人、女性が20万人、30歳代の男性が180万人、女性が50万人ということもいわれていて、若い世代でも高血圧はめずらしくない疾患ということがわかります。
若年性高血圧は病気が原因?
高血圧は、原因が明らかでない本態性高血圧と腎臓疾患やホルモンの分泌異常など、病気に伴って起こる二次性高血圧に分けられます。
本態性高血圧は高血圧全体の8~9割を占め、遺伝や体質、食塩の過剰摂取、肥満など、様々な要因が考えられます。
若い世代の高血圧は、原因が明らかな二次性高血圧が半数以上といわれています。ストレスや不規則な生活、肥満、喫煙など、生活習慣によっても高血圧が生じることがあるといいます。
若い世代の高血圧は健康診断で発見されることが多いようです。
しかし若いだけに健康には自信があることから、ともすると高血圧を放置しがちな傾向もみられるようです。
原因をはっきりさせる意味でも、医療機関を受診することが大切であるのはいうまでもありません。
進行する高血圧の低年齢化
若年齢の高血圧はさらに低年齢化の傾向を見せているようで、10歳代にも高血圧がみられるという新聞報道がありました(東京新聞/2024.5.14)。
記事によれば「国立大学保健管理施設協議会がまとめた『学生の健康白書』では、18歳(大学1年)の男性の約9%が高血圧」だったそうです。
年齢が上がるごとに高血圧の割合も高くなっていくということでした。
また、佐賀県内のある私立校の協力を得て調べたところによると、中学生の8.7%、高校生の6.2%が高血圧だったそうです。
若くても本態性高血圧が起こることがあるといわれます。運動不足や肥満、塩分過多の食事など、高血圧の原因となる生活習慣を見直すことが大切なのはもちろんです。
血圧は加齢とともに上昇するといわれます。
まだ若いからと高血圧を放置すれば、10年後、そして20年後の状況は「推して知るべし」です。
<参考>
*「高血圧の話」(特定非営利活動法人日本高血圧学会・日本高血圧協会)
*「『高血圧の日』について」(特定非営利活動法人日本高血圧学会)
*「健康サポート情報・高血圧」(オムロン ヘルスケア株式会社)
*「20代でもありうる若年性高血圧!」(Health News 大分大学)
*「子どもの高血圧 注意して」(東京新聞/2024.5.14)