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座っている時間が長い人は短命?

座っている時間が長いほど死亡リスクが高いことが研究でわかったそうです。 

日本人は世界一、座っている時間が長いともいわれているだけに、ひとごとと思えない人も多いはず。 

……どうしたら? 

 

日本人は世界一の座りすぎ 

自分が1日にどれくらい座って過ごしているかなんて、あまり考えたことありませんよね。 

実は日本人は、「短さ」においては睡眠時間が、「長さ」においては座って過ごす時間が、世界No. 1なのでした。 

世界20か国を対象にしたオーストラリアの研究機関の調査によれば、日本人が平日に座っている時間は1日に420分(7時間)で、世界最長だそうです。 

コロナ禍での在宅勤務などに加えて、日本の場合、もともとデスクワークが多いことや仕事の時間が長いことも、その要因ではないかと専門家は指摘しているようです。 

 

座りすぎは生活習慣病のリスク 

厚生労働省の調べによると、平日1日の座っている時間の割合が「8〜10時間未満」と答えた人の割合は、男性が12%、女性は13%。「10時間以上」は男性26%、女性20%でした。 

男女とも3割以上が8時間以上も座りっぱなしという結果でした。 

「2時間未満」と答えた人は男性6%、女性5%にすぎませんでした(平成25年国民健康・栄養調査)。 

日本人は起きている時間のうちの6割近くを「座って過ごしている」ということもいわれています。 

座りすぎで太ももやふくらはぎの筋肉の動きが減少すると血流を悪化させ、糖の代謝や筋肉の代謝の低下を招きやすいといいます。 

さらには高血圧、肥満、高血糖などに加え、心疾患や脳血管疾患、糖尿病、がんなどの健康リスクが高まり、死亡率も上がると指摘されています。 

  

座りすぎには喫煙並みのリスク 

運動しているかどうかにかかわらず座る時間が長いほど死亡率が高くなるという研究結果もあります。 

1日に座る時間が「01時間」の人に比べて、「48時間未満」の人では死亡率が1.02倍、「811時間未満」では1.15倍、「11時間以上」になると1.40倍になるといいます。 

また、テレビ視聴時間と糖尿病(2型)の関連を調査した研究によると、テレビの視聴時間が1週間に「1時間以下」に比べて、「620時間」が1.30倍、「2140時間」が1.44倍、「40時間以上」が1.70倍も糖尿病にかかる危険が高いことが分かったそうです。 

テレビだけでなく、ゲームやパソコン、スマホなど、現代は座りっぱなしにさせる要因が蔓延しています。 

座りすぎは喫煙や飲酒のリスクと同様に健康を脅かし、WHO(世界保健機関)によれば「座り過ぎが年間200万人の死因になる」そうです。 

 

座り続けないことでリスク回避 

座りすぎによる健康リスクを回避するには、とにかくこまめに立ち上がって、座っている時間を減らし、体を動かすしか方法はないようです。 

オフィスでも家でくつろぎ中でも、30分に1回は立ち上がり、少し動くだけでも血流が促されリスクの軽減になるといいます。 

なかには、休日に運動しているから長時間座りっぱなしでも大丈夫という人もいるかもしれませんが、そうとは言い切れないようです。 

京都府立医科大学などの研究によると、「余暇の身体活動量を増やしても、日中の座位時間の長さと死亡の関連を完全に否定するには至らないことが明らか」だそうです。 

やはり、ふだんから「立つ」「動く」を意識することが大事なようです。 

 

<参考> 

*「座位行動」「座位行動の定義とその実態」(厚生労働省/e-ヘルスネット) 

*「日本人の座位時間は世界最長『7時間』!」(スポーツ庁Web広報マガジン) 

*「座っている時間が長いほど死亡リスクが増加する」(京都府立医科大学) 

*「『座りすぎ』にご用心!」(社会福祉法人 恩賜財団 済生会) 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。