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寝相の悪さはよくないサイン?

子どものころに比べたら寝相の悪さを指摘されたり、意識することも減ってきた……とはいえ、たまに布団から大きくはみ出たりすることも……。 

寝相の悪さの裏には何が隠されているのでしょうか?

 

●一晩に何回ほど寝返りを打つ?

 睡眠中の自分を見たり確認することはできませんから、朝起きたときの姿から自分は寝相がよいと思っている人もいるかもしれませんが、じつは眠っている間、私たちは20~30回も寝返りを打っているといいます。

 私たちは眠りの当初から目覚めるまで、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という眠りの2つのパターンを90分から120分周期で4〜5回繰り返しているといいます。

 レム睡眠は浅い眠りといわれ、脳は目覚めていて体が休息している状態。ノンレム睡眠は深い眠りといわれ、脳が眠って体は目覚めている状態です。

 寝返りはこのノンレム睡眠、つまり脳が休息して体は動ける状態のときに起こるといわれます。

 

●寝返りは血液の循環をよくするため?

 この寝返りはなぜ起こるのでしょう。

 よくいわれているのは、血液の循環をよくするためというもの。そして体温の調節と姿勢のリセット。

 起きているときと同様に睡眠中でも同じ姿勢のままでいると、体の一部に体重や重力などの圧力がかかり血液の流れが滞ってしまいがち。それを避けるために私たちは無意識に何度も寝返りを打っているといわれます。

 また、体にこもった熱を放散するなどして体温の調節を行ったり、昼間の活動で歪んだ姿勢をリセットすることも寝返りをする理由のようです。

 床ずれの予防や布団の中のたまった空気の移動による適温の維持といったこともいわれています。

 

●寝相が悪いのには、どんな理由が?

寝返りの回数が極端に多かったり、布団から大きくはみ出したり、あちこち激しく移動するような激しい寝返りをする人もいます。

 こうした寝相の悪さの原因でよくいわれるのは、寝室の環境やなんらかの体の変調、睡眠の病気などです。

 寝室の湿度や温度が高いときや、布団や枕などの寝具が体に合っていないと寝苦しくて何度も寝返りを打ってしまうようです。部屋の照明や周囲の音も睡眠の妨げになることがあります。

 また、腰や足の痛み、かゆみ、発熱などの体の不調も寝苦しさの原因といわれます。

 

●「寝相が悪い人」ですまされない?

 寝相の悪さと睡眠の病気との関連でよくいわれるのは「睡眠時無呼吸症候群」。睡眠中に何度も呼吸が止まってしまう病気で、息苦しさが寝相の悪さにつながるようです。

他に下肢を中心に不快感が起こる「むずむず脚症候群」、大声で暴力的な寝言をいったりする「レム睡眠行動障害」などが指摘されています。

寝相が悪い裏には、ときに重大な健康リスクも潜んでいるようです。

 それら以外に過度なストレスや不安感なども寝相の悪さにつながっているともいわれています。

単に「寝相が悪い人」と笑ってすまされない大きな問題のようです。

 

<参考>

*「知ってなっとく からだの疑問」(小学館)

*「寝相が悪い原因と治し方のポイントとは?」(フランスベッド株式会社)

*「寝相が悪すぎる人が確認すべき3つの原因、認知症の前兆の可能性も」(ダイヤモンド・オンライン)

*「寝返りって必要⁉︎寝返りの役割と寝返りしやすいパジャマとは」(グンゼ株式会社)

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。