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怒りっぽい人は血圧が高くなる?

様々な合併症の入り口ともいわれ、別名サイレントキラーなどと、ありがたくない呼び名を持つ高血圧。 

とても身近な病気のわりに関心はけっして高いとはいえないようです。 

自分の血圧、きちんと把握していますか?  

 

高血圧は最大の生活習慣病リスク 

 なぜ高血圧が「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」などという物騒な呼び名をいただいているのでしょう? 

 高血圧の厄介なところは、これといった自覚症状がないことです。 

知らない間に動脈硬化が進行し、やがて脳や心臓などに致命的な合併症を誘発。脳卒中などの脳血管障害や心筋梗塞などの心疾患、さらには腎障害などを引き起こす危険が増大するといいます。 

 高血圧は喫煙と並んで「日本人にとって最大の生活習慣病リスク要因」(厚生労働省e-ヘルスネット)ともいわれているのです。 

 ちなみに高血圧と診断されるのは、診察室での測定の場合、140mmHg/90mmHg以上。自宅で測る場合は135mmHg/85mmHg以上が目安です。 

 

高血圧でも受診しない人が半数 

厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(令和元年)によると20歳以上の国民のおよそ34人に1人(男性29.9%、女性24.9%)が高血圧(収縮期血圧140mmHg以上)にかかっているといいます。 

さらには、もし高血圧が完全に予防できれば、年間に10万人以上の人が亡くならずにすむという推計もあるそうです。 

 実は恐ろしいそんな高血圧ですが、健康診断で「高血圧」を指摘されても受診しない人が約半数もいるそうです。 

 血圧は日々の生活と密接に関係しているといわれます。 

例えば食事による塩分の取りすぎや大量飲酒、運動不足、肥満、喫煙、ストレスなどの生活習慣によって引き起こされると考えられています。 

 

怒り、イライラは血圧を上げる 

ところで「怒ると血圧が上がる」などとよくいわれます。 

本当でしょうか?  

怒りやイライラといったストレスは自律神経に影響を及ぼすといわれます。 

怒りや不安を感じると心臓がドキドキしませんか? 

これは自律神経の中の交感神経の活動が活発になって心拍数が上がり、血管を収縮させているため。結果として、血圧が上がってしまうのだそうです。 

「頭にきた!」と思っても、まず一呼吸置くことが大事らしいです。 

「短気は損気」とよくいいますよね。 

怒りにまかせて、すぐ大声で怒鳴ったりしないで、まず数秒間、待ってみては? 

 また口角(唇の両端)を意図的に上げて、作り笑いをするのも効果的だそうです。それだけで副交感神経が働いて気持ちを和らげてくれるとか。 

イラッときたら口角を上げる……試してみては? 

 

<参考> 

*「高血圧」(e-ヘルスネット/厚生労働省) 

*「たかが血圧?されど血圧!」(県民健康調査/福島県) 

*「危険な関係―ストレスと血圧」(健康プラザ/日本医師会 

*「健康豆知識〜怒りが健康に与える影響とは?」(一般財団法人 茨城県メディカルセンター) 

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。