女性に圧倒的に多い甲状腺の病気
男性と女性とではかかりやすさが違う病気がいくつかあります。
甲状腺の病気もそのひとつ。
最近感じている不調は、もしかしたら甲状腺の病気かもしれません。
甲状腺の働きは?
甲状腺はのどぼとけの下にある蝶々形をした臓器。甲状腺ホルモンを分泌しています。
甲状腺ホルモンって何? と思う人も多いかと思います。
甲状腺ホルモンとは、血液の流れにのって全身の細胞に働きかけて新陳代謝を活発にしてくれるホルモン。
脈拍数や体温、自律神経などの働きを調節したり、エネルギーの消費を一定に保つなど重要な働きをしています。
また妊娠の成立や維持、子どもの発達や成長にも重要なホルモンだといわれています。
甲状腺ホルモンは多すぎても過ぎても体にさまざまな不調が現れます。
バランスよくスムーズに分泌されることで、私たちは元気に毎日を過ごすことができるのです。
ところがなんらかの原因で、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されたり、逆に不足してしまうことがあるのです。
20代~30代に多くみられる甲状腺機能亢進症
過剰に分泌される甲状腺機能亢進症の代表的な病気に「バセドウ病」があります。
この病気は、女性は男性と比べて3倍~5倍も多く発症するそうです。
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるようになると、「暑がり、多汗」「動悸・息切れ」「やせ」「イライラ」「食欲亢進」「手のふるえ」などの症状が出てくるといわれています。
全身に症状が現れますが、症状が軽いことが多いために病気と気づかず見逃されやすい傾向があるそうです。
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、月経不順や無排卵などを起こし、不妊を引き起こすことがあることも知られています。
30~40歳代で発症することが多いといわれる橋本病
一方で甲状腺の分泌量が減る甲状腺機能症という病気があります。
その代表的なものに「橋本病」があります。
甲状腺ホルモンの分泌量が減ってしまうため、「寒がり」「皮膚の乾燥」「太りやすい」「眠気」「便秘」「顔のむくみ」といった症状が出てくるそうです。
橋本病の男女比は1:20~30と圧倒的に女性に多く、特に30~40代の女性に発症することが多いそうです。
女性では月経過多になったり、うつ病や認更年期障害やうつ病と間違われることもあるそうです。
早めの受診が大事
女性に多い病気なのに甲状腺の病気は意外と知られていないようです。
また、症状がゆっくり現れることもあって「疲れがたまって体調不良になっているのかな」と思ったり、「更年期障害やうつ病かも」と思ったりして、甲状腺の病気と気づかないまま発見が遅れることも少なくないそうです。
不調があると「疲れているから」と忙しさのせいにしてしまいがちですが、不調をそのままにして良いことはひとつもありません。
甲状腺の異常は血液検査でわかります。きちんと治療を受ければ支障なく日常生活が送れるそうですから、「甲状腺の病気かも?」と思ったときは不安がらずに受診しましょう。
近くの内分泌科(代謝内科)や耳鼻咽喉科などを受診して相談しましょう。
<参考>
※「甲状腺」(日本内分泌学会)
※「甲状腺の病気」(女性の健康推進室ヘルスケアラボ 厚生労働省研究班監修)
※『ウィメンズ・メディカ』(小学館)