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不妊症・不育症と内科の病気

不妊症や不育症は、内科の病気が原因で起こることがあります。原因となる病気を治療することで、妊娠・出産が可能になります。

赤ちゃんになかなか恵まれないケースでは、内科の病気が隠されていることも


 

最近は、不妊症に悩む方も多いですね。また、不育症といって、せっかく妊娠しても流産や死産を繰り返してしまうケースがあります。

このような場合、その背景に内科的な病気が隠されていることがあります。内科的な病気が原因で起こる不妊症や不育症のケースでは、母性内科と不妊診療科や不育診療科と連携しながら、治療をすすめ、チームを組んで妊娠・出産に向けてケア、サポートをしていきます。

女性に多い甲状腺の病気は不妊や流・早産の原因になります


不妊や流産の原因となる内科的な病気の中で、しばしば見られるものに甲状腺疾患があります。甲状腺の病気は、一般的にはあまり知られていませんが、成人女性の12人に1人がかかるといわれるほど女性には多く見られる病気のです。


甲状腺といってもピンとこない人も多いかもしれませんね。
甲状腺は、のどぼとけの下に位置して、からだ全体の新陳代謝を促す甲状腺ホルモンを分泌しています。
甲状腺の病気はいくつかありますが、代表的な病気が甲状腺機能の異常で、甲状腺のホルモンが過剰に分泌されてしまうバセドウ病(甲状腺機能亢進症)と、逆に、甲状腺ホルモンが不足してしまう慢性甲状腺炎(甲状腺機能低下症)があります。
20~30代の女性に多いのがバセドウ病。そして慢性甲状腺炎は、30代、40代の女性に多く見られます。
甲状腺ホルモンは、高くても低くても不妊の原因になります。
また甲状腺機能に異常があると、流産や早産をすることがあります。
何度か流産を経験した方が念のために検査すると、甲状腺機能の異常が見つかることが少なくありません。

一度は検査を受けておくと安心

これから妊娠を考えている女性にとって、バセドウ病や慢性甲状腺炎は見逃せない病気なのです。
家族に甲状腺疾患をもつ人がいて妊娠を考えている人は、一度は甲状腺機能の検査を受けておくよといでしょう。
簡単な血液検査で甲状腺ホルモンのバランスが測定できます。
検査の結果、甲状腺機能の異常が見つかっても、治療を行って甲状腺ホルモンの濃度を正常にしておくことで、普通の人と同じように妊娠・出産が可能です。

プロフィール

村島 温子 先生
母性内科
村島 温子 先生

国立成育医療センター母性内科医長

山梨県に生まれ、筑波大学医学専門学群卒業。
内科とくに循環器内科医を目指し虎の門病院研修医に。
研修終了後、生活習慣が大きな要因となる心筋梗塞よりも原因不明で若い女性が侵される膠原病に立ち向かいたいと順天堂大学膠原病内科に入局。
「膠原病と妊娠」をテーマにしていたことがきっかけで、現職に。
日本リウマチ学会評議員、日本内科学会総合内科専門医部会幹事

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