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PLUS COLUMN

手のひらを冷やして熱中症を予防?

統計史上最短の梅雨明けだとか。さらにいきなりの猛暑もあって、テレビなどでは熱中症への警戒を呼びかけています。そんななか最近、話題なのが手のひら冷却。暑さ対策、熱中症の予防に効果的なんだそうです。

 

フライパンで焼かれる暑さ?

長く厳しい夏の到来を予感させる天気が続いています。

猛烈な暑さ、災害級の暑さ……猛暑日が続くこの時期にはよく聞かれるフレーズですが、今年はさらに極暑、炎暑といった言葉も頻繁に使われているようです。

そんなか「炎昼(えんちゅう)」という言葉を新聞で見つけました。

「真夏の暑い昼下がり」という意味だそうです。

ジリジリと夏の太陽に灼かれる街の様子や木陰で涼もうとする人の姿が想像されます。

 スペインのアンダルシア地方は「スペインのフライパン」と形容されるほどの暑さだそうですが、最近の日本の夏もフライパンとまではいかなくても土鍋くらいにはなっているかもしれません。

 

熱中症の救急搬送は過去最多?

閑話休題……。

 そんなきびしい暑さが続くなか、熱中症により救急搬送されたのは、総務省消防庁によると、今年の6月20日〜26日の1週間、全国で4,551人だったそうです。

1週間の搬送人数としては、統計を取り始めた2010年以降、6月では過去最多とのことです。

 年齢別では65歳以上の高齢者が54%と半数を超えていますが、18〜65歳未満の人も32.8%、7〜18歳未満が12.5%います。

 発生場所は住居が37.3%と一番多く、次いで道路18.1%、公衆(屋外)13.9%、仕事場(工場や田畑など)が11.5パーセントなどとなっています。

 コロナ禍に加えて炎暑の夏。気がかりはマスクでしょう。

政府は屋外ではマスクをしなくてもいいといった呼びかけをしていますが、「顔パンツ」との別称というか愛称をもつまでになったマスクを外すのは容易ではなさそう。

熱中症の発生リスクもさらに高まると懸念されているようです。

 

体の内部の温度を下げるとは?

 熱中症は、高温多湿な環境に長い時間いることで「深部体温」が上昇することで起こるといわれます。

深部体温……最近、テレビなどでよく耳にする言葉です。

中心温とか芯温などともいわれ、脳や臓器など体の内部を守るための温度だそうで、外からの影響を受けにくく体温が一定に保たれています。

 この深部体温が上昇すると意識がもうろうとする、頭痛、吐き気などの熱中症の症状があらわれるようです。

 この深部体温の上昇を抑えることで暑さ対策、熱中症対策に効果があるといわれています。

 この深部体温を下げるにはどうすればいいか?

 

手のひらを水につけて体を冷却?

手のひらや足の裏、頰を冷やすと深部体温が下がるとされています。

 これらの部位には動静脈吻合(AVA)という、動脈と静脈を連絡する(吻合)血管があります。このAVA血管は暑いときは血管を開き、寒いときは血管を閉じて深部体温を調整しているといわれます。

 運動の前後や暑いなと感じたときなどは、手のひら(できれば肘まで)を水につけることで深部体温を下げ、暑さ対策、熱中症の予防になるそうです。

 冷たい飲料水のボトルを握って手のひらを冷やすのもいいようです。暑いときの屋外ではいいかもしれません。

 ふだんからの熱中症対策とあわせて、ちょっと暑いなと感じたら、こうした手のひら冷却を試してみるのはいいかもしれません。

 

<参考>

*「全国の熱中症による救急搬送状況 令和4年6月20日〜6月26日(速報値)」(総務省消防庁)

*「熱中症ゼロへ」(環境省)

*「深部体温と熱中症」(一般財団法人日本気象協会)

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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