プラスコラム
PLUS COLUMN

働き盛りが心がけたい熱中症対策

猛暑日が続く今日このごろ。全国的に10年に1度レベルの高温となる可能性があると予想されたところもあるようです。高齢者や子どもに多いといわれる熱中症ですが、働き盛りも油断はできません。今回は働き盛りの世代が気をつけたい熱中症リスクについてのお話です。

 

 

必要な水分の半分量は食事から

 熱中症予防というと、まず頭に浮かぶのが「水分補給の大切さ」。熱中症対策として、こまめな水分補給を心がけている人も多いことでしょう。

 けれども熱中症対策で意外と知られていないのが食事の重要性。

実は私たちの体に必要な水分量の約半分の量は食事でとっているといわれています。

例えばご飯なら茶碗1杯(約150g)で約90mlの水分がとれるそうです。また野菜や果物、みそ汁やスープなどからも水分がとれます。

しかも水分だけでなく、汗と一緒に失われる塩分やミネラルなども食事から一緒に補給することができます。

「飲む」だけでなく「しっかり食べること」も熱中症予防に重要なポイントなのです。

 

朝食の重要性

 食事のなかでもとくに重要だといわれているのが朝食です。

朝食抜きで出かけてしまうと年齢と関係なく熱中症になりやすいことが知られています。

 なぜ朝食がそんなに大切なのでしょうか?

 人は寝ている間にも、汗や呼吸で一晩に400ml~500ml の水分が失われているといわれています。

あらためて500mlのペットボトルをながめてみると、いかに多くの水分が失われているか実感できるかと思います。

 睡眠中は知らず知らずのうちに体が乾き続けていますから、朝は1日のうちでも脱水リスクが高まるときだといわれています。

就寝前と起床後にコップ一杯の水を飲むことが勧められていますが、それだけでは不十分。朝こそしっかりと朝食をとっておくことが必要です。

 朝はパン食という人も多いかもしれませんが、ご飯と味噌汁などの日本型朝食のほうが水分量がより多くとれるので熱中症予防におすすめだといわれています。塩分もとれる梅干しの入ったおにぎりやみそ汁など、夏は和の朝食を見直したいですね。

 

睡眠不足やアルコールもリスクに

 ところで食事を抜くほかにも、熱中症のリスクを高めるものとして睡眠不足や疲れ、アルコールなどがあげられています。

アルコールは利尿作用があり体内の水分が排出されてしまう特徴があります。また、寝る前にアルコールを飲むと睡眠の質も下がるので、睡眠不足になりやすいといわれています。

夏は仕事帰りのビールがおいしいですね。けれども飲み過ぎにはくれぐれも注意を。

熱中症でダウン、などということがないように、こまめな水分補給を心がけるとともにしっかり食べてぐっすり眠って、暑さの厳しい今年の夏を元気に乗り切りましょう。

 

 

<参考資料>

※「熱中症」(ここが聞きたいドクタートーク! 第798回放送分 日本医師会)

※「栄養をとろう」(熱中症予防 声かけプロジェクト)

※プレスリリース「STOP熱中症」(教えて!「かくれ脱水」委員会)

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。