プラスコラム
PLUS COLUMN

更年期の不眠に悩んでいませんか?

寝つきが悪い、眠りが浅くて何度も目覚めるなど、更年期に入ると不眠に悩む人が増えてくるようです。

 

更年期症状のせいで眠れない人も

 不眠はつらいですね。熟睡感が得られないから疲れが取れず、昼間に眠気やだるさを感じたり、集中力が低下したり、頭痛、イライラなども多くなります。

睡眠の悩みは、年齢を重ねるにつれて増えるといわれますが、女性の場合は更年期に不眠を悩む人が少なくないようです。

 原因のひとつは、更年期症状によるもの。手足の冷えがひどくてなかなか眠りにつけなかったり、寝入ってからものぼせや発汗、動悸などがあると寝苦しさからしばしば目覚めてしまったりします。

 

布団の中であれこれ考えて眠れない

 また更年期は、エストロゲンの減少から心の不調を感じる人が少なくないといいます。

加えて、更年期は人生の折り返し地点。家族や夫婦に関する悩みや仕事の悩み、親の介護などストレスや悩みも増大します。

寝床に入って、今抱えている悩みや将来への不安など、あれこれと考えていると目が冴えて眠れなくなることも多いもの。

「明日に響くから眠らなくては」と思うほど、よけいに眠れなくなるといった不眠のスパイラルに陥る人も少なくないようです。

 眠れなくても我慢して布団の中でじっと目を閉じて過ごす人もいるようですが、専門家は、寝付けずに布団の中で焦燥感にかられて過ごすことが、かえってストレスとなって睡眠の質を下げてしまうことがあるといいます。

また眠れない夜が続くと「また今晩も眠れなかったらどうしよう」と不安に思ったり「今夜こそ眠ろう」と緊張感を高めてしまうことで、不眠をこじらせてしまうことも。

こんなときは、思い切って一度寝床から出たほうがよいと専門家はアドバイスします。

 

眠れないときは寝室を出てリラックス

眠れない夜は「睡眠時間は○時間必要」といった睡眠へのこだわりは横に置いておきましょう。

照明を暗くして音楽やアロマなどでリラックスして過ごして、眠くなったら寝床にいきましょう。

 明るい照明やスマホ、タバコ、アルコールなどは覚醒作用があるので避けることが大事です。

 逆説性睡眠といって、不眠症の患者さんは「まったく眠れていない」と思っても、調べてみるとある程度睡眠がとれていることが少なくないそうです。

 

眠りを整えるためのセルフケア

 不眠が気になる人は、まずは以下のセルフケアを心がけてみましょう。

・朝起きたら太陽の光を浴びて朝食をとって体内時計を整える

・昼間はウォーキングなど適度な運動を心がける

・夕方以降はコーヒーやお茶などのカフェインは摂取しない

・夜は入浴などリラックスタイムをもうける

寝室の室温や湿度、照明や音にも気を配り、安心できる環境をつくる

 セルフケアを心がけても睡眠が改善されないときや家事や仕事に差し支えるときは、体や心の病気のサインであることも少なくありません。

がまんしないで、早めにかかりつけの婦人科や内科の主治医に相談するか、睡眠外来など専門の医療機関を受診することをおすすめします。

 

<参考>

※『更年期障害 これで安心』(小学館 堀口雅子監修)

※「睡眠 あなたの疑問に答えます」(『きょうの健康』2022年7月号  NHK出版)

※「健康トピックス」(日本医師会)

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。