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【New】ご存じですか? 「耳垢」の大切な働き

「耳垢」というと、よけいなもの、汚いものといったイメージがありますが、じつは耳の中のゴミどころか大切な役割があるのをご存じですか?

 

 

耳の健康を保つ耳垢の働き

 そもそも耳垢は、外耳道にある耳垢腺(じこうせん)から分泌される分泌物に古くなってはがれ落ちた表皮やほこり、毛髪などが混ざってできているものだといいます。

耳垢という言葉から体の垢(あか)を連想する人も多いかもしれません。

けれどもただの「垢」ではないんです。

耳垢は鼓膜に至るまでの耳の通り道を保護したり、耳の中に入ってくる異物を包み込みながら排出する役割があるといわれています。 

 耳垢の成分は弱酸性ですから、耳の細菌の繁殖を抑えたり、またリゾチームというたんぱく分解酵素が細菌細胞の細胞壁を破壊して、雑菌から耳を守ってくれる働きも。

一説では耳垢には、虫などの侵入を防ぐ役割もあるといわれています。

さらに外耳道や鼓膜を外の刺激から保護する作用もあるなど、耳垢は耳の健康を保つうえで必要不可欠なものといえそうです。

 

耳掃除の弊害

耳掃除は気持が良いし、耳の中もきれいになるから毎日行うという人も少なくありません。

けれども、専門家は神経質に耳掃除をする必要はないといいます。

耳には自浄作用があるので、耳掃除をしなくても耳垢は自然に外に排出されてしまうからです。

 逆に耳掃除をすることで、外に出ようとしている耳垢を耳の奥へ押しこんでしまったり、外耳道を傷つけて炎症を起こしたり、また耳垢を取り過ぎることで殺菌をするメカニズムに狂いが生じることもあるそうです。

耳の中をきれいにするために行っている耳掃除が、かえって耳の健康を損なってしまわないように気をつけて。

 

竹や金属製の硬い耳かきはNG

 耳の手入れは月に1~2回、風呂上がりに耳の入り口付近を軽く柔らかな綿棒などでやさしく拭きとればそれで十分だといいます。

外耳炎の多くは、指の爪で耳の中をかいたり、耳かきなどで外耳道を傷つけてしまい、細菌が入ることが原因。

竹や金属などの耳かきの使用は避けて、綿棒を使う場合も耳の奥まで入れないでほしいと専門家は警告します。

 

外耳炎にご用心

 ところで、耳掃除が大好きな人の中には、耳かきのし過ぎで耳の中を傷つけて、外耳炎になる人が多いようです。

耳には、快感を生じさせる迷走神経が走っているそうです。だから、耳かきで刺激すると気持ちよく感じるのですね。

けれども耳の中の皮膚は非常に薄いために、少しの刺激で傷ついたり皮膚が荒れたりするそうです。

そうなると耳の中がかゆくなってさらに耳かきをしたくなり、すると炎症がますます広がってしまうという悪循環に陥りがち。

 外耳炎を慢性化させるとそれだけ治療も長引くそうです。

そうならないためにも、耳掃除がしたくなったら「耳垢は耳の健康を守る」ことを思い出してみてください。耳掃除をセーブできるかもしれません。

 耳のかゆみがひどくなったり、耳だれが出てきたような場合は、早めに耳鼻科を受診することをおすすめします。

なお耳鼻科での耳掃除は保険適用になります。耳垢が気になるときも受診すると、安全に耳垢を取ってもらえます。

 

<参考>

※『からだのしくみ図解事典』(永岡書店 伊藤善也監修)

※「耳掃除と外耳炎」(新潟市医師会)

※「子どものみみ・はな・のどの病気」(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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