イヌを飼うと健康寿命が延びる?
イヌを飼う人が増えるかもしれません。
イヌを飼うと介護や死亡リスクが半分に減るというのですから。
高齢者のみならず世界中のイヌ好きの老若男女が快哉を叫んでいるに違いありません。どんな研究でしょうか?
イヌを飼っている人の介護リスクが半減?
「やっぱりね~」
「そうじゃないかと思っていたんだよ」
……なんて、世のイヌ好きは得意満面かもしれません。
新聞やネットでも報道された国立環境研究所と東京都健康長寿医療センターの研究チームによる高齢者を対象にした調査のことです。
結論をいってしまえば、イヌを飼っている人は、飼ったことのない人に比べて、介護が必要になったり亡くなってしまうリスクが半分に減ったというのです。
老若男女を問わず、年齢に関係なく知っておくといいかもしれません。
調査は東京都内の介護認定を受けていない1万人以上、65歳以上の高齢者を対象に、2016年から3年半かけて行ったそうです。
調査開始の時点でイヌかネコを飼っていた人の割合は14%で、過去に飼ったことのある人は30%。どちらも飼ったことがない人は約5割でした。
「犬友」同士の交流が影響?
分析の結果、イヌを飼っている人は、まったく飼ったことがない人に比べて介護や死亡のリスクが0.54倍だったそうです。
要介護状態になることや死亡することを自立喪失というらしいのですが、そのリスクが、イヌを飼ったことがない人の半分なんです。
さらにイヌのお世話に加えて、日ごろから運動習慣がある人の場合、リスクはさらに下がり0.44倍だそうです。
なぜこんなにも大幅な減少が見られたのでしょうか?
新聞報道によると「犬友」同士の交流が関係しているのではないかといいます。
例えば日ごろ、こんな光景をよく目にしませんか?
イヌを挟んで飼い主同士が2人、3人、4人と集まり、楽しげに世間話や情報交換している光景……。
実はこうしたイヌを介したつながりが、健康によい影響を及ぼしているのではと推測されているようです。
ネコは介護リスクを軽減できるか?
ではネコの場合は、どうでしょうか?
飼っている人と飼っていない人との間にリスクの差はみられたでしょうか?
ニャンと!……ネコ派には残念ですが、差はなかったそうです。
そういえばネコ好きが公園などで、ネコの集会のように群れ集って、楽しそうにおしゃべりしている光景を見たことがありませんね。
ネコを連れて外を散歩している人もまずいません。
ネコ談義などでの交流もむずかしそうです。
とはいえなんの役にも立っていないとするのは早計かもしれません。
ネコによる高齢者の自立喪失リスクの軽減については、今後の研究が待たれるところです。
健康寿命を延ばすにはイヌの手を借りる?
ところで「健康寿命」という言葉、よく耳にしますよね。
健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」(厚労省・eヘルスネット)のことだそうです。
平均寿命とは違います。
例えば2016年の平均寿命は女性が87.14歳、男性は80.98歳です。
でも健康寿命は、女性が74.79歳、男性は72.14歳です。
この差を「不健康な期間」(厚労省)というそうで、女性が12.35年、男性は8.84年もあります。
健康寿命をどう延ばすかが国の課題らしいです。
ならば、例えば、イヌを飼うことを推奨する、なんてことも選択肢の1つとして考えてもいいかもしれませんね。
ワンダフル!……なんてね。
<参考>
*「犬を飼うと介護リスク半減、一方で猫は…」(朝日新聞デジタル2022.2.24)
*「犬と暮らせば老後も元気」(東京新聞/2020.6.7)
*「平均寿命と健康寿命」(厚生労働省・eヘルスネット)