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男性の約2倍程度も!? 実は多い、女性のうつ

日本では、年々うつ病の患者さんが増えているといわれています。

誰もがかかる可能性があるといわれるうつ病ですが、男性に比べて女性のほうがうつ病になりやすいことをご存じですか?

 

長引くコロナ禍。うつ病が増えている

日本では、およそ15人に1人が一生のうちに一度はうつ病を経験するといわれています。

さらに長びくコロナ禍で、心の健康を損なう人がさらに増えているという報告も多くあります。

新聞の報道によると、経済協力開発機構(OECD)のメンタルヘルス(心の健康)に関する国際調査で、日本ではうつ病・うつ状態の人の割合が2倍以上に増加していることがわかったそうです。

これは日本だけの現象ではなく、他の先進国でも新型コロナウイルスの大流行以降、うつ病・うつ状態の人の割合は2~3倍に増えているとのこと。

終わりが見えない新型コロナウイルスの流行は、世界中の人々の心に大きな影を落としているようです

 

 

女性は男性の2倍かかりやすい!?

うつ病は、すべての年代を通して男性より女性のほうが多い傾向があり、女性は男性2倍程度うつ病になりやすいとされています。

 うつ病がなぜ起こるのか、発症の原因はまだはっきりと解明されていないようですが、その背景には精神的なストレスや過労などの肉体的なストレスがあるとされています。

 

女性ホルモンが大きく変動するときは要注意

 女性の場合はまた、女性ホルモンの変化も影響しているといわれています。

 女性ホルモンには、女性の健康を守ってくれるさまざまな働きがありますが、脳の健康にも大きく関与していて、女性ホルモンのエストロゲンにはセロトニンなど脳内神経伝達物質の正常な働きを守る効果があるといわれています。

 そのため、女性ホルモンが大きく変動する思春期や産褥期、更年期などは、とくにうつ病を発症しやすい時期だといわれています。

 また、うつ病にならないまでも、女性ホルモンのバランスが崩れる生理前や生理中には、「うつっぽい気持ち」になることは、女性なら誰でも経験しているのではないでしょうか?

 

こんな症状に気をつけて

 うつ病になると、気分の落ち込みや無力感、疲労感、倦怠感、不眠、何をしても楽しくないといったさまざまな不調が現れるといわれています。

 また、精神的な症状はあまり目立たずに頭痛、胃の不快感、動悸などの体の症状が強く出てくる場合もあるそうです。

 

増大するストレスを抱え込まないために

 女性は、女性ホルモンの変動のほかにも、仕事や家庭、子育て、親の介護など肉体的にも精神的にもさまざまなストレスがかかりがち。

責任感が強くまじめな人、律儀で几帳面、仕事熱心な人ほどうつ病になりやすいといわれていますから、頑張り屋さんほど悩みや仕事を一人で抱え込まないように心がけたいものですね。

女性はうつ病になりやすいことを頭に置いて、積極的に休養をとりましょう。

 

受診に迷ったら、身近な保健所等に相談を

 うつ病は気の持ちようでは治りません。早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが必要です。

「最近の自分はなんだか変だな」と思ったら、早めに受診することをおすすめします。

保健所や保健センター、精神保健福祉センターなどでは、心の健康や医療についての相談を幅広く受け付けています。

精神科や心療内科を受診するのにためらいがあるという人は、まずは身近な保健所などで相談してみてはいかがでしょう。

 

<参考>

※「コロナで日本人の『うつ』倍増、米も3・6倍…若い世代や失業者ら深刻化」(毎日新聞オンラインニュース 2021/6/19)

※うつ対策推進方策マニュアル(厚生労働省)

※「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」(厚生労働省研究班監修)

※「みんなのメンタルヘルス」(厚生労働省)

※『更年期障害 これで安心』(小学館 堀口雅子監修)

※『心の病を治す 食事・運動・睡眠の整え方』(翔泳社 功刀浩著)

※『産後ママの心と体 トラブル解消BOOK』(NHK出版 対馬ルリ子監修)

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。