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免疫力を高めたい今こそ見直したい 「笑いの効用」

新型コロナウイルスの変異株・オミクロン株が猛威ふるって、今やいつ誰が感染してもおかしくない状態に。

こんなときだからこそ、免疫力をしっかりつけておきたいものですね。

 

免疫力の強さのカギを握るNK細胞

 免疫力をUPさせるには、食事や睡眠・休養、運動などがカギを握るといわれていますが、実は笑いもその一つ。

笑いはNK(natural killer)細胞を活性化させるといわれています。

 そもそもNK細胞とは、私たちの体の中で働く免疫細胞のこと。

ナチュラルキラー細胞という名前の通り、病原菌やがん細胞を殺す力が極めて強く、全身をパトロールしながら、がん細胞やウイルス感染細胞などを見つけ次第攻撃してくれる頼もしい細胞なのです。

私たちの体の中には、日々たくさんのがん細胞が発生しています。

学説によってはその数1日5000個ともいわれています。

けれどもコピーミスで生じたがん細胞を、NK細胞がそのつど退治してくれているそうなのです。

NK細胞の強さはNK活性と呼ばれて、免疫力の指標のひとつとされているそうです。

つまりNK活性が高ければ免疫力が上がり、低い場合は免疫力が低下していて感染症やがんのリスクが高くなるといわれています。老化や喫煙などの不健康な生活習慣が、NK活性を低下させてしまうことが知られています。

 

笑いと免疫力

 笑いと免疫についてはさまざまな研究があるようですが、良く知られているのは、1992年に行われた実験です。

大阪ミナミの演芸場でがんや心臓病の患者さんたちに漫才や新喜劇を見せて大笑いをしてもらったあとにNK細胞の活性度を調べたところ、笑う前にNK細胞の活性度の数値が低かった人でも、笑った後はすべて正常範囲までアップすることが確認されたそうです。

笑うことで免疫力が上がることが示されたのです。

 

笑いのさまざまな効用

 笑いは、免疫力をUPさせるだけではありません。

調べてみると、脳の活性化やストレスの減少、アレルギー反応を低下させる、ストレスを解消し、うつを改善する、血糖値の上昇を抑制する、痛みを和らげるなど、体だけでなく心にも、いいことがいっぱいあるようなのです。

 

笑う門には、本当に福が来る!

 コロナ禍ではいろいろな楽しみも制限されて、大声で笑うことも少なくなっているように思えます。

 漫才や落語を見るのもよし、コメディ映画やドラマを見るのもよし、意識的に笑う機会を増やしてみませんか?

 今はそんな気になれない、という人はときどき鏡を見てニッと「つくり笑い」をしてみませんか?

 実は作り笑いでも、表情筋が動くと脳が勘違いして、ストレスホルモンの分泌が減少したりするそうです。

 また、ミラー効果といって周囲の人もつられて笑って、笑いが伝播する効果もあるそうです。さらに、顔のリフトアップにつながるなど、エイジング効果も期待できるとか。

「笑う門には福来たる」という言葉がありますが、まさに人は笑うことで自然と幸せを呼び寄せてているのかもしれませんね。

 

<参考>

※「大阪発笑いのススメ」(大阪府)

※「こころの健康 気づきのヒント集」(厚生労働省 中央労働災害防止協会)

※「笑う~ストレス解消法~」(日本成人病予防協会)

 

 

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。