受診時にあなたの痛み、ちゃんと伝わっている?
頭痛がする、おなかが痛む、生理痛がつらい・・・・。
医療機関を受診したときむずかしいのが痛みの伝え方。
どう伝えたらいいのでしょう?
伝え方には工夫が必要
痛みはQOL(生活の質)を大きく損ないます。
気になるときは早く受診して、ラクになりたいですよね。
でも、痛みに対する感じ方は人それぞれ違います。
受診時に痛みのつらさを伝えても、医師にうまく伝わらないことも少なくありません。
そこで、重要なのが痛みの伝え方です。
具体的に伝えるポイント
感覚的なことを、人に伝えるのはむずかしいもの。
まして痛みの場合は、とても個人差が大きいので、なおさら伝え方がむずかしいようです。
でも、痛みの伝え方が上手にできると、医師の診断がスムーズになるといわれています。
国立がん研究センターがん対策情報センターでは、がん患者さんに向けて痛みの伝え方についてアドバイスしています。
その中で『痛みにはいろいろあり、表現もとても微妙なもの』として、ポイントを押さえた痛みの伝え方を提案しています。
一部抜粋して紹介すると
(1)痛む時期/どんなときに痛いのか。1日中痛むのか、ときどき急に痛むのかなど。
(2)場所/どこが痛むのか。どんなときに痛いか。痛む場所はいつも同じか、など。
(3)感じ方/ジンジン痛むのか、キリキリ痛むのか。
(4)日常生活への影響/眠れない、食べられないなど。
(5)痛みの程度/これまで感じた最も強い痛みを「10」まったく痛みのない状態を「0」とすると、今回の痛みは何点くらいか。
(6)痛み止めの効果/途中で切れた、全体的に和らいだ、ほとんど効果を感じないなど。
(「患者必携 痛みの伝え方の工夫」(国立がん研究センターがん対策情報センターより。一部改変)
医療機関を受診したときは、いつから、どこがどんなふうに痛むのか、痛みに関する情報をできるだけ具体的に医師に伝えることが大事なようです。
オノマトペで痛みを表現する
ファイザー製薬が行った「痛み治療に対する医師と患者との意識比較調査(2016年)」によると、慢性疼痛の患者の約7割が「自身の痛みをどう伝えてよいかわからない」と回答していました。
問診として、痛みを上手に伝える・聞き出し方の工夫では、約9割の医師が問診でオノマトペを使用していると回答し、患者も7割近くオノマトペを使って体の痛みを表現していると答えました。
大辞林によると、オノマトペとは「擬音語・擬声語・擬態語を包括的にいう語」とされています。
なんともむずかしい表現ですが、要するに、痛みであれば、「シクシク痛む」「チクチク痛む」などがオノマトペに当たります。
痛み方の表現は、ほかにもズキンズキン痛む、キリキリ痛む、ガンガン痛む、ジンジン痛む……。
またビリビリ、ピリピリ、ヒリヒリ、ギンギン、ギシギシ、ドクンドクンなど痛みの表し方は多種多様。
もちろん感覚的なものですから「シクシク痛む」と伝えても、受け手側の解釈は異なるかもしれません。
しかし、ただ『痛いのです」というよりは、はるかに相手に状況が伝わりやすいといえます。
痛みを数値で表す
主観的な痛みを客観的に伝えるツールとしてもう1つ役立つのが、痛みの度合いを数値で表して伝える方法です。
痛みの個人差は大きくて、小さな切り傷でも耐えがたい痛みを覚える人もいれば、大きな傷の痛みであっても我慢できてしなう人もいます。
「ちょっと痛む」「すごく痛む」と言うよりも「一番つらい痛みを10とすれば、今の痛みは8くらい」と数値化して伝えると、医師は客観的に痛みを評価しやすいのだといいます。
痛みが医師に上手に伝われば、診断の一助となり、治療の手掛かりになります。
また、慢性疼痛の場合は、いつ、どんなときに、どのように痛んだかを日記につけたりメモしておくことも、有効な手段。
痛みの経過や生活習慣との関わりがわかって、診断や治療に役立つといわれています。
医師と患者とのよりといコミュニケーションをつくるためにも、ぜひ痛みの伝え方を工夫してみませんか。
*「患者必携 もしもがんが再発したら 痛みの伝え方の工夫」(国立がん研究センターがん対策情報センター)
https://ganjoho.jp/hikkei/saihatsu/chapter3/page02.html
*「痛み治療に対する医師と患者との意識比較調査(2016年)」(ファイザー製薬)
https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2016/2016_10_26.html