プラスコラム
PLUS COLUMN

朝型生活はそんなにいいのか?

「早起きは三文の徳(得)」とかいいます。

朝早く起きるといいことがあるというような意味ですけど、どんないいことがあるんでしょう。

本当にいいことばかりなんでしょうか?

 

早起きは体にいいことがいっぱい?

「早起きは三文の徳(得)」の三文というのは、一文銭三枚のことで、

『大辞林』(三省堂)によれば「非常に安いこと」「値打ちのないこと」だそうです。

三文小説とか三文文士、三文判、二束三文といったように使われています。

というわけで、意味としては、早起きはそんなによいことはないけど、ま、でも、わずかばかり、

何かいいことがあるよ、といった感じの格言になるのかと思います。

 

どんないいことがあるのでしょう?

よくいわれるのは生活リズムの面です。

例えば、睡眠が十分にとれると朝ご飯がおいしく食べられる、すると体が目覚め、

脳にエネルギーが供給され、脳の働きが活発になり、集中力が上がり、仕事の能率もアップする、

食事で腸が刺激され便秘が解消、さらに1日3食の食生活は脂肪をため込みにくい体をつくり、

生活習慣病の予防にもなる……などです。

 

「朝活」はいまでは当たり前?

早起きは三文どころか、いいことづくめのように思えます。

さらにここ数年は「朝活」とかいって、会社がはじまる前の時間を趣味や勉強、異業種の人との交流、健康づくりの運動など、自分を研鑽するための早朝の活動が流行っているようです。

始業時間を前倒しにして、夕方は早く帰ったり、早朝に出勤すると朝ごはんが無料か格安で

食べられるという企業もあります。

朝を有効活用するためにはじまった「朝活」もいまでは会社ぐるみ、

世間では当たり前の取り組みといった印象です。

 

ただ、なかには「早起き」や「朝型生活」「朝活」が「徳(得)」にならない人もいるのは

たしかなようです。

 

夜型人間は全体の3割?

朝起きるのが苦でない朝型人間がいるように、朝起きるのがつらい夜型人間も一定程度いるといいます。

朝型か夜型かは個性だそうで、全体の3割は夜型人間に該当するらしいです。

こうした人たちは、朝型中心の社会になかなか適応できずにいるといいます。

こうした不適応の理由は、体内時計の周期に関係するということで、朝型の人は体内時計の周期が

24時間に近く、朝起きるのがそれほど苦と感じません。

いっぽう夜型の人は、体内時計の周期が24時間より長くなっているので、

眠る時間が後ろにずれてしまうらしいです。

そのために、早起きしようと努力すると睡眠不足におちいり、それが続くと体調を

くずしたり精神的な不調を招くといいます。

 

夜型を朝型に変えるのはむずかしい?

慢性的な睡眠不足がうつや高血糖、高血圧、がんなどの誘因になるという指摘もあります。

ただ、夜型から朝型に移行するのは簡単ではなさそうです。

朝型に変えるために睡眠時間を無理矢理削るのはよくないともいいます。

といって自分の夜型体質に合ったライフスタイルを優先するために転職というのも

容易じゃないし……。

 

長い時間をかけてコツコツっていうことでしょうか……?

いっそのこと、朝といえばコケッコッコーの「朝」だろうというそれまでの常識が、ある日突然、

きょうからは起きたときが「朝です!」という新常識制定……なんてことになったら、

みんなうれしいでしょうね。

 

<参考URL>

*「学力も左右する? 朝ごはんが大事な理由」(朝日新聞デジタル)

https://www.asahi.com/articles/SDI201803195209.html

 

*「『朝型生活』逆効果になるケースも?」(AERA dot.)

https://dot.asahi.com/aera/2016040600206.html

 

*「『早寝早起き』は本当に体にいいのか?…睡眠の新常識」(YOMIURI ONLINE)

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160905-OYTET50018/

 

*「『早起きは体に悪い』説の真偽は?」(日経Gooday)

http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100031/111100171/

 

*「早寝・早起き・朝ごはん」(白河市公式ホームページ)

http://www.city.shirakawa.fukushima.jp/sp/page/page003126.html

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。