プラスコラム
PLUS COLUMN

「嫌なことがあった日は、眠れない」ワケ

突然ですが、就寝前に今日あった嫌なことをふと思い出して、

悶々としてしまうことはありませんか? 

今回は眠りと記憶のお話です。

 

睡眠と記憶

眠っているときは、脳も休んでいると思われがちですが、

実は脳はしっかり働いているのをご存知ですか?

そもそも睡眠には浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠があって、

この2つの睡眠中交互に繰り返されています。

この睡眠中の一連のリズムの中で、脳は、起きているときに体験した事柄や感情を整理して、

記憶の固定が行われているといわれています。

学習したことをしっかり記憶に定着させるためには、

睡眠がとても重要な役割をはたすといわれていますが、

睡眠は、嫌な記憶に対しても同様の働きがあるようなのです。

 

布団の中で考えていた、嫌な記憶も定着してしまう?

睡眠と記憶に関してはさまざまな研究が行われているようです。

たとえば、中国と米国の研究チームが発表した記憶の実験の研究によると、

つくられたばかりの嫌な記憶を保持したまま眠ると、

睡眠後は嫌なことを記憶から追い出すことがむずかしくなるという研究結果を発表しているそうです。

 

また、米国マサチューセツ大学の研究でも、

嫌な記憶は、眠ることで強まってしまう可能性があることが示唆されているそうです。

布団の中で、嫌なことを思い出して眠れなくなる、というのも、

それなりに意味があることなのかもしれませんね。

 

眠れないときは、開き直るが正解?

ところで、あれこれ頭の中で考えてしまって眠れないとき、みなさんはどうされていますか?

こんなときは「眠ること」に固執せず、いっそ「嫌な記憶を定着させないために

眠くならないんだから、仕方ない」とすっぱり割り切ったほうがよさそうです。

睡眠の専門家によると、眠くないのに布団の中で悶々としていると、

いつのまにか、「布団=眠れない場所」といったイメージがついてしまうのだそうです。

眠れないときは、さっさと布団から離れて、カフェイン抜きの暖かい飲み物……

ハーブティや白湯、ミルクなどを飲んでリラックスしたほうがよいといわれています。

 

<参考資料>

*『簡易型認知行動療法実践マニュアル(きずな出版:大野裕、田中克俊著)

 

<参考URL>

*「怒ったまま寝るなに科学的信憑性、記憶実験で示唆」(AFP BBニュース)

http://www.afpbb.com/articles/-/3109634

 

*「不安で眠れぬ夜にも意味がある 嫌な記憶を弱める効用(日経ナショナルジオグラフィック社)

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO22064690Q7A011C1000000

 

*「睡眠が嫌な記憶を強めてしまう!?」(現代ビジネス 講談社)

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31678

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。