プラスコラム
PLUS COLUMN

汗について考えてみる

猛暑は過ぎたものの昼間は汗ばむこともあるこのごろ。汗って「うっとうしいなあ」……ですよね。

そんなことで最近では汗をかきたくないと思う人が増えているらしい。

そんな嫌われものの汗ですが、出るものが出なくなるとどうなってしまうのでしょう?

 

体温を調節する汗を出なくしてしまうと、どうなる?

「暑いときは汗をかく」

当然ながら私たちは気温が高かったり、熱いものを食べたりすると汗をかきます。

皮膚の表面に出てきた汗が蒸発するときの気化熱を利用して、体にこもった熱を外に逃がし、体温を一定に保とうとしているということらしいです。

 

ところが汗をかくことを嫌う人、汗をかきたくない人が目立って増えているとか。

メイクがくずれるのを嫌う女性ならではの心理と思えますが、最近では男性までも、汗を目のかたきにしている人が増えつつあると聞きます。

テレビでも「男臭を消す」といったような内容のCMもあるようですから、これも時代の流れなんでしょうけど……。

 

勢い、汗をかきたくないばかりに、水分になるようなものは口にしない、いっさい水を飲まないというような荒療治をする人も出てくるようです。

でも、「水を飲まない」汗対策は脱水から熱中症のおそれもあるようだし、避けたほうがいいかもしれません。

 

間違った制汗剤の使い方が招くリスク

汗をかきたくない時には制汗剤を使うという手もありますね。

ただし、使い方をまちがえると、熱中症になるおそれがあるといわれます。

制汗剤はドラッグストアにいけば簡単に手に入れられるので、気軽に使ってしまいがちですが、

汗をかくのを嫌って、おなかとか背中など全身に使うのは危険だといわれます。

汗腺がふさがれて汗が出なくなり、体温調節機能がはたらくなるおそれがあるからだそうです。

そうなれば熱中症を引き起こしかねません。

制汗剤はわきの下や足の裏といった、汗のにおいが気になるところ限定で使うのがいいようです。

 

汗は高熱から体を守る自然な反応……「汗は嫌い」でいい?

いまは汗をかく機会が減っているようです。

オフィスはもちろん、電車やバス、自宅や行きつけの店など、街の建物のほとんどは冷房が効いて、夏でも快適に過ごせます。 

そのおかげで汗をかくことが減った分、汗はくさいもの、汚いもののように感じたり、汗をかかないことがおしゃれと思うような風潮が醸されてしまったのかもしれません。

 

汗は暑いと感じたときの体の自然な反応で、熱から身を守る大切なメカニズムだといえます

「汗は嫌い」「汗は出ないでほしい」の発想はあらためたほうがいいかもしれません。

 

「いい汗」と「悪い汗」

ところで汗にも「いい汗」と「悪い汗」があるようです。

いい汗はにおいもなく、すぐに蒸発するので熱中症になりにくいそうです(本コラム:「あなたの汗はいい汗? 悪い汗」参照)。

https://www.pluswellness.com/pluscolumn/detail.php?column_id=569

もちろん汗をかいたら水分の補給も忘れないで。

水分は一気にたくさん飲むよりはこまめに摂るほうが効果的だそうですよ。

1日に飲料として摂りたい水分量は1.2リットル(食事に含まれる水分を除く)が目安といわれています。

 

ちなみに朝食を食べる人は熱中症になりにくいそうです。

それも和食がいいらしい。

ご飯に味噌汁を中心とした献立には水分が多く含まれているんですね。

「アセ、ミズ、アサゴハン」……熱中症から身を守るおまじないとして、流行語にならないでしょうか?

 

<参考URL>

*「熱中症環境保健マニュアル2014」(環境省)

http://www.wbgt.env.go.jp/pdf/envman/full.pdf

 

*「熱中症予防のために知っておきたい『水』と『汗』の秘密」(日経グッデイ)

http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100014/070600029/?cs=ar_r

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。