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制汗剤の使い過ぎで匂いが強くなる?

「いい汗」は匂いがないといわれても、やはり匂うんじゃないかと気になるのが汗の厄介なところ。あなたは汗が出るのを止めるためにどんなこと をしていますか?手っ取り早いのは市販の制汗剤を使うことですが、制汗剤も使い方次第では逆に匂いが強くなることもあるとか・・・。制汗剤を使わなくても 汗の出るのを止める方法があります。今回は、匂わないはずの汗が匂う理由と汗を止める方法を紹介します。

匂わないはずの汗が匂う理由は?

汗は体温を調節するために分泌されます。肌についた汗を気化させることで体の熱を下げるのです。汗はほとんどが水分で無臭。ところが多くの人は 「汗=くさい」と思っています。本当は無臭のはずの汗が匂いを発するのはなぜ? じつは時間の経過とともに皮脂や垢が汗と混じり、雑菌が繁殖して匂いを出 すようになるからです。とくに夏は汗をたくさんかきますから、雑菌も増殖しやすく匂いも気になる時期です。

では汗の匂いを和らげるにはどうすればいいでしょうか。 
ま ずは、たいていの人がやっていることですが、(1)汗をふき取ること。本来は無臭の汗が雑菌の繁殖によって匂いを発するまでに、1〜2時間かかるといわれてい ます。ですから汗をかいたと思ったら、すぐにふき取ることが大事です。ただその際、乾燥した布ではなく、「水やお湯でかたくしぼった布で拭くこと」だそう です。乾燥した布で拭くと肌がかわいて、よけいに汗が出やすくなってしまうのだそうです。

次に、(2)制汗剤を使う。制汗剤には汗腺をふさいで汗を止める効果と、雑菌が繁殖しないようにする殺菌効果があります。自分の体質によって使い分けるのがよいようです。
  その他、(3)湯船に入って汗をたっぷりかく(汗腺を刺激して「いい汗」をかく)。(4)お風呂での洗い過ぎに注意(肌の善玉菌を洗い流してしまう)。(5)肉類や揚 げ物、チーズなどの乳製品、ニンニクやニラなどの匂いの強い食べ物を控え目に(多くとると皮脂の分泌が増え、汗も匂いやすくなるといわれている)。(6)運動 不足の解消(ふだん汗をあまりかかないので汗腺が衰え、汗は匂いのもととなる雑菌が好むアルカリ性が強くなるといわれている)。
・・・などが汗の匂い対策でよくいわれるようです。自分にあった方法を選んで、夏の汗対策を試してみましょう。

制汗剤の使い過ぎが、さらに匂いを強くする?

夏の汗は時と場所を選びません。仕事の関係ですぐに人と会わなければいけないなど、急いで汗を止めたいときもあるでしょう。そんなときに役立つのがやはり制汗剤です。
制汗剤を使うときは自分がワキガ体質か、そうでないかがポイントです。

ワ キガ体質でなければ、汗が気になったときに消臭効果のあるシートでさっと拭くだけで十分のようです。ワキガ体質だけれどもそれほど匂いが強くない場合は、 弱い抗菌剤の入ったタイプのスプレーを、汗を除菌シートでふき取ったあとに使うと効果的といわれます。ワキガが強いタイプの場合は、殺菌作用の強い薬を肌 に直接塗るタイプがいいようです。無香料を選ぶのがポイントだそうです。

制汗剤であればどれも同じというわけではなく、使う人の体質に よって使い分けることが大切です。匂いのあまりないタイプの人が、強い殺菌作用のある制汗剤を使い続けると肌の常在菌のバランスがくずれ、必要な善玉菌が 死んでしまい匂いが強くなることもあるようです。またいくつもの制汗剤を塗り過ぎてもかえって匂いを強くするともいわれています。
汗をかくのを嫌って全身に制汗剤を使うのは危険です。汗腺がふさがれて汗がでなくなり体温の調節機能がマヒしてしまいかねません。わきの下や足など匂いが気になる箇所にだけ使うようにしましょう。

一時的に汗を止める裏ワザ

ところで、制汗剤を使わなくても一時的に汗を止める方法があります。首筋やわきの下、手首など動脈が通っている部分を冷やすと、冷えた血液が全身をめぐり体温を低下させてくれます。
ま た、「半側発汗(はんそくはっかん)」といって、体の一部を圧迫することで部分的に発汗をおさえる方法があります。たとえばわきや胸元を締め付けると、一 時的に顔やわきの下の汗をおさえることができるといいます。舞妓さんが夏でも白塗りの化粧が汗でくずれないのは、胸の高い位置で帯をきつく締め付けている からだといわれています。

さらに氷を口に含む方法も汗のコントロールに効果的とされています。口の中には体温調節をするための機能があるので、氷の冷たさを感じることによって体も涼しくなるというものです。冷たい水を口に含むだけでも効果があるようです。
暑いときはかき氷をバクバク、冷たい飲料水をゴクゴクといきたいところですが、飲み過ぎは胃腸の負担になります。一気に胃袋に流し込まずに口に含むことがミソです。
たかが汗、されど汗……「汗かき上手」と呼ばれる夏にしたいものですね。


<参考URL>
・「汗とニオイのお悩み相談室」(ライオン(株))
http://www.banbanban.jp/
・「気になる汗の正しいケア」(ソニー生命保険(株))
https://cs.sonylife.co.jp/lpv/pcms/sca/ct/special/topic/index1508a.html?lpk=63333
・「健康コラム 良い汗・悪い汗」(日本クリニック(株))
http://www.japanclinic.co.jp/consult/consult_03_41.html
・「ガッテン!・徹底解明 いい汗と悪い汗」(NHK)
http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20070620/index.html

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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