プラスコラム
PLUS COLUMN

婦人科検診に行こう!

4月9日は「4と9」のごろ合わせで「子宮(しきゅう)の日」。子宮頸がんを予防する日として、各地でさまざまなイベントや活動などが行われました。今回は女性特有の病気について考えてみたいと思います。

 

女性特有の気になるトラブル、そのままにしていませんか?

これからは女性が長く元気に働く時代。そのためには健康管理が欠かせませんが、生理がつらいといった女性特有のトラブルについては、診察をためらってそのままにしているという人も多いのではないでしょうか。

 

でも、女性ならではの気になるトラブルには、心配な病気が隠れていることもあるといわれます。とくに、現代女性に多いといわれているのが、子宮筋腫や子宮内膜症、乳がん、月経前症候群(PMS)などの病気。子宮頸がんは20代から急増するそうです。

 

働く女性の婦人科系の病気の経済的損失は年間6.37兆円

ご存知の方も多いかもしれませんが、昨年NPO法人日本医療政策機構が、ある試算を発表しました。それは、働く女性が婦人科系の病気になった場合、社会が被る経済的な損失で、その額なんと、6.37兆円にものぼるそうなのです。

また、婦人科疾患をもつ女性は、いずれにもかかったことがない女性に比べて、生活の質(QOL)や労働の生産性が低下することもわかっています。ところが、定期的に婦人科を受診している人は、わずか2割にとどまり、受診しない理由として、「健康なので行く必要がない」という回答が5割を超えているそうです。

 

気軽に相談できる婦人科のかかりつけ医を見つけよう

あきらかに困った症状が出ないと、婦人科はなかなか受診しにくいものですが、現代女性に多いといわれる子宮内膜症や子宮筋腫、子宮がんや卵巣がんなど女性特有がんは、進行するまで痛みや不調を感じづらいようです。そのため、病気がかなり進行してからはじめて婦人科を受診する人も少なくないとか。病気を早期に発見して治療するためにも、定期的に婦人科検診を受けて、子宮や卵巣の様子をチェックしたいものですね。

歯科クリニックで定期検診や歯のクリーニングを受ける女性は多いのですが婦人科検診となると、二の足を踏んでしまうのは、やはり「内診されるのが嫌」「恥ずかしい」と気持ちがあるからかもしれません。

また、婦人科・産婦人科は妊娠や出産を扱うところといったイメージが強くて、行きにくいと感じる人もいるでしょう。でも、妊娠・出産は婦人科の役割の一部でしかありません。生理の悩みや性の悩みからはじまって、妊娠・出産にかかわることはもちろん、更年期や閉経後のトラブル、老年期に至るまで、女性特有の体の変化をみてくれるところが婦人科です。

 

婦人科とは一生のお付き合い

つまり内科や歯科と同様に、婦人科は女性が一生お世話になる診療科。妊娠したり、急病になってはじめて受診するのではなく、今のうちから、婦人科で検診を受けて、頼りになる主治医を見つけられるといいですね。

一度でも受診しておくと、婦人科がどういうところかわかり、その後のハードルが超えやすくなることが多いものです。女性の心と体の両面を見てくれる女性外来も増えていますから、いろいろな情報を集めて、自分によいと思われるところを選びましょう。

 

 

<参考URL>

*働く女性の健康増進に関する調査結果(日本医療政策機構)

https://www.hgpi.org/report_events.html?article=475

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。