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「血糖値スパイク」の脅威から身を守る具体的方法は?

食後の急激な高血糖を招く「血糖値スパイク」。誰にでも起こる可能性があり、命にもかかわる、そんなこわい病気から身を守る方法はあるのでしょうか? 
 

血糖値スパイク予防の基本、糖分の吸収を遅らせるに・・

血糖値スパイクを防ぐには、できるだけ糖分の吸収を遅らせて、血糖値の急上昇を抑えることです。それにはどうすればいいのでしょう。

(1)ご飯を食べる前に野菜か肉、魚類を食べる

血糖値の急な上昇を防ぐには、いきなりご飯などの炭水化物を食べないことだそうです。ダイエットをしている人にはすでにおなじみのことですが、食物繊維を多く含む野菜を先に食べると、腸壁がコーティングされて糖分の吸収をゆるやかにするそうです。そして、脂質やタンパク質が含まれる肉や魚を食べると、腸から分泌されるインクレチンというホルモンのはたらきで胃腸の消化吸収を遅くするといわれます。これらを食べたあとにご飯を食べると、糖分の消化吸収に時間がかかり、血糖値の上昇もゆるやかになるというものです。

 

ただし、ご飯を一度にたくさん食べればやはり血糖値は急上昇します。ゆっくり食べることも大切です。ゆっくり食べは、ドカ食いや早食いを防ぐことができます。

血糖値の急上昇を防ぐための外食の注意としては、たとえばラーメンよりもタンメンや五目ラーメンを選ぶとか、トンカツ定食ならキャベツの千切りから食べるなど、野菜や肉、魚などを先に食べるようにしたほうがよいようです。昼食に、コンビニのおにぎりだけとか、カップメンだけ食べる人もいるようですが、他にきんぴらごぼうやおひたしなどのおかず類を一緒に買って、それらを先に食べましょう。外食するときは主食のご飯以外に副菜のおかずがあるメニューを選ぶのがいいでしょう。

(2)1日3食、きちんと食べる

朝はあわただしくてとても朝食なんか……という人もいるでしょう。でも朝食を抜いて、おなかがペッコペコになった状態で昼食を食べると血糖値は急上昇。血糖値スパイクが起きやすくなるといいます。忙しすぎて朝食に続いて昼食も抜いてしまうと、夕食のあとに血糖値スパイクの危険がさらに増します。

 

すきっ腹をかかえて長時間すごすと、血液中の糖分を分解するインスリンは分泌されにくくなり、ようやくありつけた食事のあとの血糖値の過剰な上昇を招くといわれています。

朝昼夜の3度の食事をきちんととることで血糖値の上昇をゆるやかに保つことができるといいます。何も食べないというのがいちばんよくありません。バナナ1本、ヨーグルト1カップ、シリアル1口、リンゴ1かじり……とにかく食べましょう。

(3)食べたあとの食休みより、ちょこっと運動

食べたあとの「食休み」は、食べたものの消化を助け、いかにも体にも健康によさそうですが、さにあらずで、とくに血糖値スパイクを起こしている人は血糖値が下がらず、高血糖の状態が続いてしまうといいます。

 

食後15分ほどは消化、吸収を良くするために血液が胃や腸に集まり、胃腸のはたらきが活発になり、糖分の吸収も盛んになるといいます。それととともに血糖値も上昇します。このときに体を動かすと、胃や腸へ行くはずの血液が手足の筋肉に集まり、胃腸のはたらきが低下するといわれます。自然、糖分の吸収もゆるやかになり血糖値の上昇が抑えられるというのです。

 

血糖値の急激な上昇を抑えるには食後15〜30分は、軽く体を動かすのがいいといわれています。ランチを食べるならオフィスから少し離れた場所にある店を選び、食べ終わったら寄り道しないでまっすぐ歩いて帰るのがよいようです。食後のコーヒーはオフィスでゆっくり・・。

朝食後や夕食後もできるだけ「ちょこちょこ」と体を動かすのがいいようです。朝のゴミ出し、最寄り駅まで徒歩通勤、夕食後の軽い散歩やお部屋の中の足踏み運動・・。
今日から、今から実践しましょう。

 

 

 <参考URL>

*「NHKスペシャル血糖値スパイクが危ない」(NHK)

http://www.nhk.or.jp/special/kettouchi/result/index.html

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。