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猫舌は生まれながらの体質ではなく、舌の使い方に問題アリ?

朝な夕なに秋のおとずれを感じるこの時季、山海のおいしいものがたくさん店先に並び、食卓をにぎわし、唾液の分泌もますます盛んになります。親しい人と鍋を囲みフーフーいいながら熱々の料理をいただく・・食べる幸せを感じますね。でもそうした熱々を享受できない人たちがいます。猫舌の人たちです。熱いものをうまく食べられない猫舌は生まれながらの体質でしょうか。それとも別の理由があるのでしょうか?

親の猫舌は子にうつる・・猫舌遺伝説の真偽は?

熱いものを食べるのが苦手で、冷ましてからでないと食べられない猫舌の人たち。いっぽう平気で熱いラーメンをズッズズーッとすする人たちにとって、猫舌はなかなか理解できないようです。

「熱い食べ物は熱いうちに食べるからおいしいのに。ア〜ア、あんなふうに冷ましちゃって~、おいしいのかねえ~?」などと冷たい視線を浴びせます。

猫舌の人だって熱々を熱々で食べられればどんなにいいか分かっています。でも食べられないのです。猫舌だから・・。

 

そもそも猫舌とそうでない人の違いはどこにあるのでしょう。

「温点」というのをご存知でしょうか。

舌は先端ほど熱さを感じる「温点」という神経が集中していて、奥にいくにしたがって熱に対して鈍感になっていくのだそうです。これは猫舌の人もそうでない人も同じなので、猫舌の原因は舌の構造のちがいではないということがわかります。

専門家によると猫舌でない人は、熱いものを食べるときに前歯で舌の先端を隠し、熱いものが舌の先端にふれないように丸めながら食べているといいます。猫舌の人はそうしたことがうまくできずに、熱いものを食べるとき真っ先に舌の先端にふれてしまうので、熱くて食べられないということになるようです。

 

猫舌になるかどうかは幼いころの食べ方のトレーニングと関係があるといわれます。親が猫舌の場合、子どもに熱いものを食べさせないので、食べる練習ができずに猫舌のまま大人になってしまったということも考えられるようです。

猫舌は遺伝するわけではないのです。

やけど覚悟で猫舌は治せるか?

では猫舌は治せるのか? 

舌の先端を意識的に歯の裏に隠して食べたり、食べ物をスプーンやフォークで熱に鈍感な舌の中央にもっていくなどすれば、熱いものを食べられるようですが、そこまでして猫舌を克服する必要はないようです。

猫舌は病気ではありません。単なる食べ方の問題ですから、無理して治そうと熱いものを食べてやけどをするとしたらおかしな話です。

 

もともと動物はネコに限らず猫舌だそうです。熱いものを平気で食べるのは人間だけだそうですから、むしろ猫舌に関しては人間はきわめて少数派。特異な存在かもしれません。

でもネコ以外の動物も猫舌だったら、なぜ犬舌とかウサギ舌、馬舌などといわれなかったのでしょうか。一般には、昔からペットとして人間にいちばん身近な動物がネコだったというのが、猫舌という名前がついた理由といわれています。

他にも猫のつくことわざや言葉はあります。「猫に小判」とか「猫も杓子も」とか「猫の手を借りる」「猫かわいがり」などなど。ネコは果報者かもしれません。

「果報はネコ待て」っていうじゃありませんか・・・ん?

 

 

<参考URL>

*「東洋経済ONLINE〜猫舌に困る、あの人に教えてあげたいこと」(東洋経済新報社)

http://toyokeizai.net/articles/-/70481

 

*「R25原因は食べ方の違いにアリ? 猫舌のメカニズムとは」(リクルートホールディングス・Media Shakers)

http://r25.jp/topic/90007989/

 

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