コラーゲン配合の化粧品で肌の老化は防げるか?
コラーゲンたっぷりの食品を食べても、モチモチ、ツルツルの美肌が必ずしも約束されないということは前回ご紹介しました。では、コラーゲンが含まれた化粧品を使ったらどうでしょう。肌を通してコラーゲンが吸収され、あこがれのモチ肌がよみがえるのでしょうか?
肌のバリアー機能がコラーゲンを排除……?
体内にあるコラーゲンの約4割は皮膚にあるといわれていることからも、プルプル肌にコラーゲンは必須だということは想像できます。当然、コラーゲンの成分が入った化粧品を使っている方も多いかと思います。でもほんとうに化粧品で肌がプルプルのモチモチになるのでしょうか?
皮膚のコラーゲンがつくられるのは表皮の下の真皮にある線維芽細胞といわれるところです。新陳代謝をくり返すことによって毎日、コラーゲンがつくられています。コラーゲンの生成は30代の前半を境に減少しはじめ、50歳で20歳の半分のコラーゲン量にまで減ってしまうというデータもあるようです。真皮のコラーゲンが不足すると肌のハリが失われ、シワやたるみの原因になってしまうといわれます。
年齢とともに減り続けるコラーゲンを体内の新陳代謝によって取り戻そうとするのは困難です。そんなことからコラーゲンを食べたり、コラーゲン配合の化粧品に頼ったりということになるのですが、食べることによる皮膚のコラーゲン増量効果については前回ご紹介した通り、期待するほど有効でないということがわかりました。
では、化粧品はどうでしょう……?
これについても残念ながら「効果がない」というのが現状のようです。
というのも皮膚のいちばん上にある表皮の、さらにそのいちばん上にある角質層というわずか0.02ミリほどの層に備わっているバリアー機能によって、コラーゲンは排除されてしまうらしいのです。
角質層には「皮膚にふれるものなど、外部の刺激から体を守り、有害な物質が体内に入ることを防ぐ」役割があります。このバリアー機能によって化粧品に含まれるコラーゲンは真皮への侵入を阻まれてしまうのです。
たとえ幾多の艱難辛苦を乗り越え、万に一つにも真皮に到達することができたとしても、異物として排除されてしまい、使われることはないということです。
コラーゲン入りの化粧品は美肌の役に立たない?
プルプルとしたモッチリ肌のために使っているコラーゲン配合の化粧品が役に立たないとは……ガックリ!……お力落としの方も多いかと思います。でもそう落胆することもないかもしれません。たしかに化粧品によって皮膚のコラーゲン不足を直接補ったり、肌の老化を防ぐことはできないということですが、保湿効果を得ることには成功しているといえます。
角質層には先のバリアー機能のほかに「肌の水分を外に逃がさず保持する」機能があります。肌がしっとりとしてプルプルした状態というのは、角質層が潤っていることを示しています。
いっぽうコラーゲンには水分を蓄える働きがあるといわれていて、コラーゲン入りの化粧品を使うことで肌に高い保湿効果を与えているらしいのです。
角質層の潤いが不足すると肌の保湿効果やバリアー機能が低下し、乾燥肌や敏感肌におちいりやすくなるといわれます。
コラーゲン入りの化粧品にはそれなりの大切な役割があることがおわかりになったと思います。
ところであなたは化粧水を使ったあと、乳液を塗っていますか? それともそのままですか?
初秋を過ぎたとはいえ、まだまだ暑い日が続きます。塗ったあと肌がべたつくのがイヤということから、洗顔後、化粧水だけで済ましてしまう人がいるかもしれません。
でもご用心!……化粧水で肌に保湿成分を与えても上から乳液を塗らないと、肌の水分が逃げてしまうというのです。乳液はそうした肌の保湿成分を閉じ込めて蒸発させないためのフタというかベールというわけです。
「千里の道も一歩から」といいます。ツヤツヤ、モッチリ肌を保つための特効薬はありません。当たり前のことですが、コツコツ地道に……毎日の小さな肌の手入れがやはり大切なんですね。
<参考URL>
*「気になる健康情報〜コラーゲン〜」((株)山田養蜂場)
http://www.bee-lab.jp/kenkoujoho/collagen/a01.html
*「コラーゲンの基礎知識」(RDクリニック)
http://www.rederm.com/mag/back/120907.php
*「肌医療の基礎知識〜線維芽細胞とは?」(ユニタ整形外科・形成外科クリニック)
http://www.senigasaibo.com/knowledge/k_01.html
*「美肌をつくる真皮線維芽細胞」(医療法人再生未来)
http://www.saisei-mirai.or.jp/biyo/treatment/racs/fibroblast.html