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ノンオイルのドレッシングは本当にヘルシー?

ノン、オフ、ゼロ、レス・・健康志向の高まりもあってでしょうか。そんな言葉がつくさまざまな食品がスーパーの棚にずらりと並んでいます。そんななかから今回は「ノンオイルドレッシング」について考えてみました。「ノンオイル」は本当にヘルシーなのでしょうか?

 

低カロリーでヘルシーのはずが・・?

ヘルシーなイメージが強く、健康の代名詞ともいえる野菜ですが、あなたは野菜サラダを食べるとき、どんなドレッシングを選びますか? そんなこと聞くまでもなく、「ノンオイルでしょ!」ですか? 

でも、いま、健康を第一に考えて食べているノンオイルドレッシングが、じつは「ヘルシーとはいいがたい」といったことがいわれているようです。ノンオイルドレッシングの意外な落とし穴とは、どんなことでしょう?

 

ノンオイルドレッシングは、油分を除去しているので、エネルギーは普通のドレッシングに比べて低めにおさえられています。メーカーにより差がありますが、1回の使用料の目安とされている大さじ1杯(15g)当たりのエネルギーが、普通のドレッシングが36〜38kcalなのに対して、ノンオイルの場合は、その4分の1程度です。

このエネルギーの低さはダイエットをしている、していないにかかわらず魅力ですが、手放しで喜べない、ある理由があります。

 

その1つが糖分です。油を使っていないノンオイルドレッシングは味にコクがないので、それを補うために糖分や塩分を多めに加えているといわれています。なかでも、ぶどう糖果糖液糖や甘味料といったものは、血糖値を上げる作用があるといわれ、ダイエットや食事制限をしている場合には逆効果と考えられています。

もう1つは油分です。ドレッシングに油分が含まれていないことが、栄養の吸収に悪い影響があるというのです。

 

油は太る? 本当に体に悪い?

油というと「カロリーが高くて、コレステロールも心配で・・」と、肥満のもと、健康を害する極悪人のような扱いを受けていますが、植物油は、オレイン酸や必須脂肪酸といわれるリノール酸、リノレン酸といった不飽和脂肪酸が豊富で、悪玉コレステロール(LDL)や血中中性脂肪を下げたり、脂肪の燃焼効率を上げる効果があるとされています。必須脂肪酸というのは体内ではつくることができず、食べ物からとらなければならないものです。

 

また、植物油は、老化の防止に役立つビタミンEの供給源であり、緑黄色野菜に豊富なβ—カロテン(ビタミンA)、魚やキノコ類に多く含まれるビタミンDなど、ビタミン類の吸収を助けてくれる重要なものなのです。

ただ、油に限らずどんなに体にいい食べ物でも摂り過ぎは、肥満をはじめとする生活習慣病を招くなど、やはり健康を害します。

「油は太る」とよくいわれるのも、欧米型にかたよった脂質が多い食生活をする人が増えたという流れの中で生まれた、油に対する誤解だったのではないでしょうか。

「ノンオイル」のドレッシングは、健康志向に対応するためのメーカーの「窮余の策」だったのかもしれません。

 

ノンオイルドレッシングのなかでも「糖分控えめ」のものや「塩分をおさえた」ものもあるようです。どうしてもノンオイルでなければ・・という人は、そうしたドレッシングを選んではどうでしょう。

ただ、よくいわれることですが、「過ぎたるは及ばざるが如し」・・どんなにヘルシーなものでも「適度」をわきまえるのは必要かもしれません。

 

 

<参考URL>

・「キューピー 商品情報 ドレッシングなど」(キューピー(株))

http://www.kewpie.co.jp/products/dres/nonoil/

・「味の素 商品情報サイト」(味の素(株))

http://www.ajinomoto.co.jp/products/detail/?ProductName=semisepa

・「植物油のおいしいおはなし」(日清オイリオグループ(株))

http://sodan.nisshin-oillio.com/pdf/book.pdf

・「人工甘味料は太りやすく、インスリンを上昇させる」(小杉中央クリニック)

http://clinic-kosugi.net/blog/index-84.html

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。