
日本人の知恵、梅干の抗菌パワー
「BENTO」がフランス語になったように、このところ弁当や弁当箱が外国人にも大人気らしいです。
かつての日の丸弁当は今や昔……、キャラ弁、おにぎらーず、わんぱくサンドといったものや「女もすなる弁当といふものを男もしてみむとてする」弁当男子など、弁当にまつわる言葉をよく耳にします。そんな人気の弁当なのですが、心配なのは食中毒。
食品のもつ抗菌パワーを生かせないものでしょうか?
梅干しの殺菌や抗菌効果は接触している部分だけ?
抗菌作用のある食品といえば、真っ先に思い浮かぶのは「梅干し」ですね。
梅干しは弁当はいうに及ばず、おにぎり界においても具の定番的存在です。
これほどまでに梅干しが弁当やおにぎりの具として重用されたのは、梅干しのもっている殺菌・抗菌作用にあるといわれています。
梅干しの酸っぱさの理由はクエン酸といわれるもので、強い抗菌や殺菌効果があるとされています。
そんなことから弁当やおにぎりに梅干しが使われているのでしょうが、ただ残念なことに、梅干しのもつ殺菌や抗菌効果は、1個で弁当箱やおにぎり全体には及ないらしいということです。
じつは梅干しが直接、接触しているところしか、その効果はないようなのです。
たとえば梅干しを詰めると、詰めたところだけご飯が赤くなりますよね。
そこだけしか効果がないということになります。
ではどうすればいいのでしょう。
梅干しを細かく刻んだり、たたいたりしてご飯にまんべんなく混ぜて、梅干しパワーが弁当やおにぎり全体に及ぶようにすることだそうです。
ただし梅干しへの過大な期待は禁物です。
食事はつくった瞬間から腐敗が始まるといわれます。
日持ちを考えるより、早く食べるのが食あたりの最大防御法です。
塩分が薄い今風の梅干しに殺菌や抗菌効果は期待できない?
しかし、ここでもまた問題が……。
かつての梅干しは酸っぱさと同時に、かなり塩辛く味付けされていました。
塩分濃度が20パーセント以上もありました。
ひとなめするだけでご飯茶碗1杯はいけてしまう!……といわれるほど、しょっぱくって酸っぱい梅干しでした。
そんな塩気のきつい梅干しは冷蔵庫に入れずに常温で保存しても腐らないといわれています。
ただ、塩分ひかえめが当たり前になっている現在では、塩分濃度8パーセント、ハチミツ漬けといった、まるでスィーツのような梅干しが主流のようで、そういった梅干しには殺菌や抗菌の効果は期待できないそうです。
「調味梅干し」というらしいです。
梅干しは「医者いらず」「三毒(水毒、食毒、血毒)を断つ」といわれて疲労回復や整腸、二日酔い、乗り物酔いなどにも効果が発揮されるスーパー食品といわれています。
ただ、あの小さい体には塩分がドッサリ。
効能もさることながら塩分のとり過ぎにはご用心……。
<参考URL>
*「食品の静菌作用」(東京都福祉保健局)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/rensai/guide17.html
*「食中毒対策コラム」(三菱ケミカルフーズ(株))
http://www.mfc.co.jp/product/wasaouro/column/