プラスコラム
PLUS COLUMN

痔の予防&対策はおしりケアから

痔に大きく関わっているのが、排便や食生活などの生活習慣です。痔にならない、そして痔を悪化させないためには、毎日の生活の中でちょっとした心がけが必要です。正しい知識を身につけて、痛くてつらい「痔持ち生活」にサヨナラしましょう!

痔は生活習慣病

おしりは、みなさんが思っている以上にとってもデリケート。以下のポイントを守って、おしりにやさしい生活を心がけましょう。

排便習慣のポイント

便秘や下痢をしないように心がける

便秘によるかたい便はもちろん、勢いよく排泄される下痢便も、肛門に強い刺激を与えるために痔の原因になります。便秘や下痢にならないよう、生活リズムや食生活を整えて、いい便を出しましょう。

トイレの滞在時間は2~3分が目安

おしりのうっ血は痔の大敵。長時間トイレに座っていきんでいると肛門に大きな負担がかかります。トイレに座って2~3分たっても便が出ないときは、いったんトイレから出ましょう。携帯メールを打ったり雑誌を読むなど、トイレで長居をするのはもちろん厳禁です。

残便感があっても長くいきまない

痔核(いぼ痔)があると、排便後も便が残っているような感じ(残便感)が起こります。この残便感は、便ではなく痔核の違和感で起こるのですが、便が残っていると思って長時間いきみ、ますます痔を悪化させてしまうケースが少なくありません。残便感があっても、無理に出そうとせず、また便意をもよおしたらトイレにいけばよいと気楽に考えましょう。

便意が起こってから、トイレへ

便秘解消のためには、便意がなくても毎朝決まった時間にトイレへ行って、いきむべきだと考えている人も多いのでは? けれども、便意がないときに排便しようとすると強くいきむため、肛門に大きな圧力が加わってうっ血がひどくなり、痔が悪化します。トイレは便意が起こってから行き、できるだけいきむ時間を短くして排便するように心がけましょう。

排便をしたくなったら、がまんしないように

女性は、会社や外出先で排便できないという人が多いですね。でも、便意をがまんしていると、しだいに腸の反射が鈍くなって便意を感じなくなってしまいます。排便をしたくなったらがまんしないでトイレに行くことが便秘や痔の予防対策にはとても大事。外出先で排便するのが苦手という人は、朝は、早めに起きて朝食をきちんととり、排便をしてから出かける習慣をつけましょう。

おしりの清潔は大事。でも強くふきすぎないで。

清潔を心がけることは大事ですが、おしりはとってもデリケート。入浴時は石鹸で洗わないようにしてください。お湯で洗うだけで十分です。

排便後に、紙でゴシゴシふくのはNGです。今ではかなり普及した洗浄器付きトイレですが、温水の温度を高くしたり水流の勢いを強くすると、患部を刺激してかえって痔を悪化させるので気をつけましょう。おしりはやさしく洗うのが基本です。

 

<日常生活のポイント>

同じ姿勢を長時間続けないようにする

座りっぱなし、立ちっぱなしなど、同じ姿勢が続くと、おしりのうっ血につながります。ときどき休憩を入れて軽い運動やストレッチを行いましょう。

おしりや腰を冷やさないで

冷えは痔を悪化させます。とくに下半身は冷やさないようにしてください。カイロなどを利用しておしりをあたためると痛みもやわらぎます。

毎日お風呂であたたまる

シャワーよりも湯ぶねにつかってゆっくり温まりましょう。血行がよくなって、治りも早くなります。なお、入浴時もおしりの洗いすぎに気をつけましょう。石けんを使わなくても大丈夫。お湯で洗うだけでおしりの清潔は保てます。

アルコールや香辛料は控えめに

アルコールや香辛料は肛門を刺激し、出血や痛みを強めるので控えめにしましょう。

 

プロフィール

野澤 真木子 先生
肛門科・胃腸科
野澤 真木子 先生

日本橋レディースクリニック院長・医学博士

杏林大学医学部卒業。
同大学病院第一外科入局。
山梨県立中央病院外科
聖ヨハネ会桜町病院外科
国際親善病院外科
杏林大学医学部付属病院第一外科
大腸肛門病センター松島病院
松島ランドマーククリニック院長を経て現職

医学博士
日本外科学会専門医
日本消化器外科認定医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本医師会認定産業医
日本大腸肛門病学会専門医

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