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食中毒のときにやってはいけない対処法

さわやかだった季節が終わり、いよいよ梅雨時に突入。じめじめ、ムシムシの季節がやってきました。この時期に、増えてくるのが食中毒。食事を して数時間後に、突然の下痢、嘔吐、腹痛・・こんなとき、あなたはどうしますか。 え?まず薬をのむ?でもそれはNGの対処法なんです・・。

 

食中毒で下痢止めはNG

症状がひどい場合は「病院へ」となりますが、そこまで症状がひどくない場合は、「とりあえず市販の下痢止めや吐き気止めをのんで、少し様子をみる」という人も多いのではないでしょうか?
で も、これはNGの応急処置。そもそも「下痢」や「おう吐」は、体内に入った病原菌をすみやかに外に排出させるためのカラダの防御作用のひとつなんです。薬 で無理に止めてしまえば、病原菌を体内にとどめてしまうことに。その結果、症状が長引いたり、場合によっては重症化することもあるそうです。
 

下痢のとこきそ水分補給

また、よく「下痢がひどくなるから」と水分をまったくとらない人がいますが、これも間違った対処法です。
下痢をしているときこそ、こまめな水分補給が大事。下痢で失われる水分を外から補給しないと、脱水症状になるおそれがあるからです。

つまり食中毒の応急処置のポイントは「無理に下痢を止めないで」「こまめに水分補給をすること」になります。
といっても、清涼飲料水やコー ヒー、柑橘系のジュースなどは、下痢をひどくするので水分補給としては不向きです。水分補給は、湯冷ましなどでもいいのですが、脱水症予防のためには、電 解質を含んだものがよいことがよく知られています。電解質の入った飲みものにはイオン飲料などもありますが、それよりもよいとされているのが経口補水液。 薬局などで売っていますが、家でも下記の要領でつくれます。
  

経口補水液のつくり方

【水1リットル(沸騰して冷ましたものが理想)+塩3g(小さじ2分の1)+砂糖40g(大さじ4と2分の1)】
【 】内をかき混ぜて出来上がり。

なお、水分補給は一度に行うと胃腸に負担がかかるので、少しずつ何回にも分けて行うのがポイント。また、冷たくすると、胃腸が刺激されてよけいに腹痛がひどくなるので常温でのむのがよいようです。
水分補給をしながら、病原菌が体内から出ていくまで、安静にして回復に努めましょう。それでも症状がよくならないときや症状がひどい場合は「迷わず受診」をおすすめします。

 

<参考URL>
公益社団法人 全日本病院協会 みんなの医療ガイド「食中毒について」
http://www.ajha.or.jp/guide/24.html

<参考文献>
『Dr.365のこどもの病気相談室』(小学館:白岡亮平)

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。

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