プラスコラム
PLUS COLUMN

ヘアスタイルのヒミツ

今のヘアスタイルは今のあなたを投影している

失恋したから髪を切る、という人が今もいるかどうかは不明ですが、気分を変えるために、ヘアスタイルを変える人は案外多いもの。ヘアスタイルは、ある意味メイクよりもずっと第一印象を決定づける力があります。
ヘアスタイルは、太っている、痩せている、といったボディラインと同じように、その人のシルエットの一部です。だから、ウエストがくびれていたり、膝下が長くて細いとスタイルがいい人と思われるように、オシャレなヘアスタイルをしていると、それだけで「オシャレな人」の印象を人に与えます。


そのぶん逆もまたあり。ぼさぼさな髪や、手をかけていないと分かるヘアスタイルをすると、センスがない人。場合によっては不潔な人、と思われてしまいます。外見なんてどうでもいい、という人にとっては、こんな話しなど余計なお世話。確かにそうで、人間の価値は外見で決まるものではありません。

ただ、自分が社会とつながる上で、自分がこういう人間です、と自己主張するコミュニケーションツールとして、ヘアスタイルは、とても有効なのです。


今は、職業に関係なくヘアスタイルも自由ですが、ひと昔前は、銀行員や公務員など、堅い職業の人はぴったり七三分け。そうでないとお客から信頼されませんでした。七三分けは信用のおける職業の名刺代わりだったのです。客室乗務員のヘアスタイルがピシッとタイトにまとめられているのも、しかりです。

つまり、ヘアスタイルを変えるだけで、第一印象が別人になる可能性を人は秘めている。
ヘアスタイルにもよるけれど、乱暴に分けると、髪が長いほうが思慮深くコンサバな性格に見え、ショートのほうが軽やかでカジュアルな性格に見えます。
さらに長い髪をカールして巻くと、コンサバで女らしい性格に見える。ショートでツンツンさせると、カジュアルでアクティブな性格に見える。さらに、カラーリングの色でも、イメージはがらりと変わるので、その組み合わせは変幻自在、無限大。

 

髪が長いほうが思慮深くコンサバな性格に見え、ショートのほうが軽やかでカジュアルな性格に見えます

長い髪をカールして巻くと、コンサバで女らしい性格に見える。ショートでツンツンさせると、カジュアルでアクティブな性格に見える。
 

たとえ本当の性格がそうでなくても、ヘアスタイルをがらりと変えるだけで、周りからはそうみられ、また、鏡に映る自分を見るうちに、暗示でヘアスタイルが醸し出す性格が自分に重ね、大胆になったり、ロマンチックになったりするのです。

私事ですが、私は乳がんの抗がん剤治療で、それまでセミロングだった髪から完全脱毛を経て、余儀なく坊主頭からショートヘアになりました。でもその途端、性格が軽やかになったと言われたのです(私って重たかったのかしら笑)。「大病をしてふっきれたのね」と言われたこともあります。そんな急に内面は変わらないのに、ヘアスタイルの影響ってスゴイと思い、そのうち自分でも、ショートヘアの性格に思えてくるのでした。それ以来、ショートを楽しんでいますが、たまにロングヘアのつけ毛をつけると、気分が女っぽくなって楽しいです。


私は脱毛のおかげで、ヘアスタイルのアレンジの楽しみを知ることができたとえいます。

自分の望む人生を切り開くときに、それにふさわしいヘアスタイルにすることで、きっとあなたの人生を応援してくれると思います。
とはいえ、何十年も同じヘアスタイルをしていることが悪いといっているわけではありません。ヘアスタイルは大切なアイデンティティのひとつなのですから、それで通すのも一つの道。

今のヘアスタイルは今のあなたを投影しているといってもいい。だから、もしもっと違う自分に出会ってみたい。自分の可能性を知りたいと思うなら、色々なヘアスタイルにもチャレンジしてみてほしいな。つけ毛やウィッグ、まとめ髪でもいい。もしかすると潜在的にもっていた自分の新しい魅力に会えるかもしれませんよ。

プロフィール

山崎多賀子
(やまざき たかこ)
山崎多賀子

1960年生まれ。
会社員、女性誌の編集者を経てフリーに。雑誌やwebなどで美容、健康記事や美容ルポルタージュ、エッセイなどを手がけ、各誌で活躍。2005年に乳がんが発覚、2006年から女性誌に闘病記を掲載し話題に。
また、美容ジャーナリストという職業と闘病経験を活かし、乳がん治療中もいきいきとキレイでいられるためのメイク法や検診の重要性などを各地で講演。
著書に『「キレイに治す乳がん」宣言!』(光文社)、『山崎多賀子の極楽ビューティ体験記』(扶桑社)がある。
NPO法人キャンサーリボン理事。NPO法人キャンサーネットジャパン認定乳がん体験者コーディネーター。