風邪のあとも鼻水が長引くのは「副鼻腔炎」?
熱やのどの痛みは治まったのに、鼻水や鼻づまりだけが長引くと「副鼻腔炎かも?」と気になりませんか?
今回は、風邪のあとに起こりやすい副鼻腔炎の特徴と、受診を考える目安について紹介します。
鼻水の色より「日数と経過」が目安
黄色や緑色の鼻水が出ると、細菌に感染したのではと心配になるかもしれません。しかし、鼻水の色だけでは、ウイルスによるものか細菌によるものかは区別できないとされています。
風邪は、発症から3日目前後に症状のピークを迎え、7~10日ほどで軽くなっていくのが典型的な経過です。海外の報告では、ウイルスによる風邪のうち、細菌による副鼻腔炎を合併するのは2%未満とされています。
受診を考える目安になるのは、色よりも「症状が何日続いているか」「どう変化しているか」です。
副鼻腔炎とは|鼻の周りにある4つの空洞の炎症
副鼻腔(ふくびくう)とは、鼻の周りの骨の中にある空洞のことです。まゆのすぐ上にある前頭洞(ぜんとうどう)、頬骨の中の上顎洞(じょうがくどう)、鼻の両側の篩骨洞(しこつどう)、篩骨洞の後ろの蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)の4つがあります。
この空洞に炎症が起きた状態が副鼻腔炎で、以前は「蓄膿症(ちくのうしょう)」とも呼ばれていました。風邪で鼻の粘膜が腫れると副鼻腔の出入り口がふさがり、中にたまった液体で細菌が増えやすくなります。
主な症状は、黄色や緑色の膿のような鼻水、鼻づまり、においがわかりにくくなる、頬や額の痛みなどです。痛みは、横になったときや前かがみになったときに強くなることがあります。
鼻水がのどに流れ込む「後鼻漏(こうびろう)」も、副鼻腔炎でよくみられる症状です。たんや口臭のもとになるほか、のどや気管を刺激してせきが出ることもあります。
なお、一般に発症から4週間以内のものを急性副鼻腔炎、3カ月以上続くものを慢性副鼻腔炎と区別しています。
耳鼻咽喉科の受診を考えたい3つの目安
風邪のあと、次のような経過をたどるときは、細菌が関わる副鼻腔炎の可能性があります。
細菌による副鼻腔炎を疑う目安
・鼻水や鼻づまりが、10日以上よくならずに続いている
・いったん良くなりかけてから、再び悪化した
・39℃以上の高い熱があり、膿のような鼻水や顔の痛みが3日以上続いている
当てはまるものがあれば、耳鼻咽喉科で診てもらいましょう。反対に、症状が日ごとに軽くなっているなら、すぐに薬が必要とは限りません。
抗菌薬が必要なケースと不要なケース
「副鼻腔炎なら抗菌薬(抗生物質)」と考える方もいるかもしれません。実は、診察で軽症と判断された大人の急性副鼻腔炎では、抗菌薬を使わずに5日間ほど経過をみることがすすめられています。その間に症状が悪化するようなら、早めに受診しましょう。
抗菌薬には嘔吐や下痢、腹痛などの副作用が起こることがあり、使いすぎると薬の効きにくい菌(耐性菌)を増やす原因にもなりかねません。症状が中等度以上の場合に、医師が抗菌薬の使用を検討するのが基本です。
市販の鼻づまり用の点鼻薬にも注意が必要です。使いすぎると効かなくなり、かえって鼻がつまる「点鼻薬性鼻炎」を起こすことがあります。
生理食塩水で鼻を洗う「鼻うがい」も、液の温度や濃度、やり方を間違えると鼻の粘膜や耳を傷める可能性があります。自己流で始めず、耳鼻咽喉科で指導を受けてから行いましょう。
目の腫れや激しい頭痛は早めの受診を
まれに、副鼻腔の炎症が目の周りや頭の中にまで広がることがあります。次のような症状があるときは我慢せず、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
すぐに受診したいサイン
・目の周りが腫れている
・ものの見え方がおかしい
・激しい頭痛がある
・意識が混乱している
また、鼻づまりや粘り気のある鼻水、においがわからないといった症状が3カ月以上続く場合は、慢性副鼻腔炎の可能性があります。
なかでも、両側の鼻の中に鼻茸(はなたけ/ポリープ)がいくつもでき、においがわからなくなる「好酸球性副鼻腔炎」は、手術をしても再発しやすい病気です。国の指定難病にも定められています。
長引く鼻の症状は「ただの鼻水」と放っておかず、まずは耳鼻咽喉科に相談しましょう。
<参考>
※「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 医科・外来編」(厚生労働省,2026年)
※「急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン 2010年版(追補版)」(日本鼻科学会会誌,53:103-160,2014)
※「副鼻腔炎」「鼻の症状」(耳鼻咽喉科・頭頸部外科が扱う代表的な病気/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)
※「好酸球性副鼻腔炎(指定難病306)」(病気の解説/難病情報センター)
※「副鼻腔炎」(MSDマニュアル家庭版)


