「要再検査」と「要精密検査」はどう違う?
健康診断の結果票に「要再検査」「要精密検査」とあると、どちらも「もう一度医療機関へ」という意味に見えるかもしれません。実はこの二つは、目的も受ける検査も異なります。
今回は、判定区分の読み方と、受診の優先順位について紹介します。
違いは「やり直し」か「詳しく調べる」か
二つの違いを大まかにいうと、要再検査は「同じ検査で確かめ直すこと」、要精密検査は「別の詳しい検査で原因を調べること」です。
要再検査は、治療や精密検査までは必要ないものの、数値の異常がやや大きいため、あらためて検査をして悪化していないかを確かめる判定です。一方の要精密検査は、異常の程度が大きい、または同じ検査のやり直しだけでは原因がはっきりしない段階にあたります。
わかりやすい例が、大腸がん検診の便潜血検査です。陽性で要精密検査となった場合、便潜血検査を受け直しても精密検査の代わりにはなりません。大腸内視鏡検査などで、大腸の中を直接調べる必要があります。
A〜E判定の読み方|記号より「言葉」に注目
結果票では、判定がアルファベットの記号で示されることがよくあります。日本人間ドック・予防医療学会の判定区分(2026年4月1日改定)は、次の5段階です。
人間ドックの判定区分
・A:異常なし
・B:軽度異常
・C:要再検査・生活改善
・D:要精密検査・治療
・E:治療中
要再検査にあたるのはC、要精密検査にあたるのはDです。
ただし、記号の付け方や区分の分け方は、健診機関によって異なる場合があります。同じ学会の区分でも、2022年4月の改定より前は、Cが「要経過観察」、Dが「要医療(D1:要治療、D2:要精密検査)」でした。記号だけで判断せず、横に書かれた言葉やコメントまで読むことが大切です。
要再検査は「いつ受けるか」がカギ
要再検査で見落としやすいのが、受ける時期です。学会の判定区分では、「◯か月後」のように再検査の時期を明記し、受診者がとるべき行動をはっきり示すよう健診機関に求めています。結果票に時期が書かれていれば、それに合わせて予定を立てましょう。
血圧など、生活習慣の見直しで改善が期待できる項目では、見直したうえで再検査を受ける流れです。例えば厚生労働省の「標準的な健診・保健指導プログラム」では、血圧が140〜159/90〜99mmHgで、ほかに持病や危険因子の重なりがない場合、生活習慣を改善したうえで、おおむね1か月後に医療機関で再検査を受けるよう案内しています。
なお、検査の基準範囲は、健康な人の95%が入る範囲として決められています。つまり、健康な人でも範囲を外れることがあり、要再検査がそのまま「病気がある」という意味にはなりません。ただ、確かめないままでは判断がつかないため、指示された時期に受けておきましょう。
要精密検査……「怖いから後回し」は禁物
要精密検査と聞くと、「病気が見つかるのが怖い」「すぐに治療が始まるのでは」と受診をためらう方もいるかもしれません。学会の資料では、要治療のレベルであっても受診してすぐに治療が始まるわけではなく、詳しい検査で状態を確かめてから治療に入るとされています。
また、がん検診は、がんの疑いがある人を広く拾い上げてから診断する仕組みです。そのため、実際にはがんがないのに要精密検査と判定される「偽陽性(ぎようせい)」をゼロにはできないとされています。精密検査で問題がないとわかることも、受ける意味の一つです。
一方で、がんがあっても症状が出ないことはよくあります。「症状がないから大丈夫」「次の健診まで待とう」と自己判断せず、早めに精密検査を受けましょう。
どれから受診?優先順位と受診の準備
複数の項目に判定が付いていると、どれから手をつけるか迷うこともあるでしょう。一般的な目安としては、D(要精密検査)をC(要再検査)より先に考えます。特に、次のような場合は早めの受診を心がけましょう。
受診を急ぎたいケース
・結果票に「すぐに受診」などのコメントがある:例えば血圧160/100mmHg以上は、厚生労働省の資料で「すぐに医療機関の受診を」とされる区分にあたる
・複数の項目で異常が重なっている:厚生労働省の資料でも、複数の項目に問題がある場合は注意がいっそう重要とされている
・気になる症状がある:血便や長引くせきなどがあれば、次の健診を待たずに受診する
受診するときは、今回の結果票に加えて、過去の結果票も持っていきましょう。数値が悪化しているのか改善しているのかという経年変化は、判断の大切な手がかりになります。服用中の薬があれば、お薬手帳も持参すると安心です。
判定の記号と言葉の意味を知っておけば、結果票が届いたときに、次に何をすればよいかが見えてきます。
<参考>
※「判定区分(2026年4月1日改定)」(日本人間ドック・予防医療学会)
※「判定区分の作成過程と意義」(日本人間ドック・予防医療学会)
※「会告 判定区分の改訂等について」(2022年4月 日本人間ドック・予防医療学会)
※「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」(厚生労働省)
※「大腸がん検診について」(がん情報サービス/国立がん研究センター)
※「がん検診について」(がん情報サービス/国立がん研究センター)

