中性脂肪が高いと言われたら……「食後」の落とし穴
忘年会や新年会が増えるこの季節、健診で「中性脂肪が高め」と言われた結果を、そのままにしていませんか?中性脂肪は食事の影響を受けやすく、「食べてから測ったせいだろう」と見過ごされがちな数値です。今回は、見落とされやすい「食後」の中性脂肪と、数値との向き合い方について紹介します。
「食後だから」で済ませたくない中性脂肪
中性脂肪は、食事をとると血液中の値が上がる数値です。そのため健診の基準も採血のタイミングで分かれていて、10時間以上食事をとっていない「空腹時」なら150mg/dL以上、空腹時かどうか確認できない「随時」なら175mg/dL以上で「高トリグリセライド血症」と判定されます。
健診の採血は空腹時が原則ですが、午後に受ける健診では軽めの朝食をとってから採血するなど、食後の値になることもあります。その場合に使われるのが、随時の基準です。
「食後に測ったのだから高くて当然」と、結果を見過ごしてしまう方もいるかもしれません。ところが、食後に中性脂肪が高くなる状態は「食後高脂血症」と呼ばれ、心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患の危険因子とされています。
大規模な観察研究では、随時の中性脂肪が175mg/dLを超えると、心筋梗塞のリスクが約2倍以上になると報告されています。随時の採血で基準を超えていたら、「食後だから」で片づけず、生活を見直すきっかけにしましょう。
中性脂肪とは|食後に上がる仕組み
中性脂肪は、体内の脂質の9割を占めるエネルギー源です。体に欠かせない一方で、使い切れずに余った分は体脂肪として蓄えられます。
食事でとった脂質は、吸収されると「カイロミクロン」という粒子に包まれて血液中に運ばれます。食後に中性脂肪の値が上がるのは、このためです。また、中性脂肪は食事から入るだけでなく、肝臓でも作られています。
注目したいのは、こうした粒子が分解される途中にできる「レムナント(分解途中の残りの粒子)」です。レムナントは食後に増え、動脈硬化を進める性質をもつと考えられています。さらに、中性脂肪が高い方は、HDLコレステロール(善玉)が低くなっていることも少なくありません。
数値を押し上げる「お酒」と「甘い飲み物」
中性脂肪が高くなる主な原因は、エネルギーのとりすぎです。特に目立つのは、甘いものやお酒、油もの、糖質のとりすぎです。
お酒を飲むと、中性脂肪が増えることがよくあります。アルコールは体の中で脂肪を合成する材料にも使われ、飲みすぎは脂肪肝の一因とされています。
もう一つ気をつけたいのが、甘い飲み物です。砂糖の入った清涼飲料水を飲む習慣のある方は、中性脂肪が高い傾向があります。果汁のジュースや果物の缶詰など、果糖を含む加工食品のとりすぎも、中性脂肪を上げる可能性があります。
果物そのものを避ける必要はなく、1日200g程度(みかんなら2個ほど)が目安です。ジュースで飲むより、そのまま食べるほうを選びましょう。
忘年会シーズンに見直したい飲み方・食べ方
年末年始は、飲み会や外食の機会が続きやすい時期です。動脈硬化を防ぐための食事では、お酒は純アルコールにして1日25g以下が目安です。ビール(アルコール度数5%)なら、500mlで純アルコール20gにあたります。
料理は魚や野菜、大豆製品を中心に選び、揚げ物や締めのご飯・麺類は控えめにしましょう。
体を動かす習慣も欠かせません。早歩きなど「ややきつい」と感じる程度の有酸素運動を、1日合計30分以上、週3回以上を目標に続けましょう。通勤で一駅分歩くなど、日常の中で歩く時間を増やす工夫も取り入れやすいでしょう。
健診を控えている方は、前日の夜のお酒も控えましょう。前夜の飲酒は、中性脂肪の上昇を長引かせることがあります。
受診の目安と数値ごとの対応
健診で中性脂肪が高かったときの対応は、数値によって変わります。国の特定健診では、次のような対応が目安とされています。
中性脂肪の値と対応の目安
・空腹時150(随時175)〜300mg/dL未満:生活習慣を改善する。特定保健指導の対象になったら積極的に活用する
・300〜500mg/dL未満:生活習慣の改善に取り組んだうえで、医療機関を受診する
・500mg/dL以上:急性膵炎(すいえん)を起こすおそれがあるため、早めに医療機関を受診する
受診する際は、採血が空腹時だったか食後だったかを医師に伝えましょう。健診結果の用紙ごと持参すれば、LDLコレステロールや血圧、血糖の値もあわせて見てもらえます。
中性脂肪は、食事や運動の見直しで大きく下がることが期待できる数値です。年末を迎える前に、自分の数値と生活を一度確かめておきましょう。
<参考>
※「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」(一般社団法人日本動脈硬化学会)
※「健康診断で異常を言われたら?」「動脈硬化性疾患の発症を予防するためには?」(一般の皆様へ/一般社団法人日本動脈硬化学会)
※「脂質異常症」「中性脂肪/トリグリセリド」(生活習慣病などの情報・e-ヘルスネット/厚生労働省)
※「アルコールとメタボリックシンドローム」「脂質異常症の食事」(生活習慣病などの情報・e-ヘルスネット/厚生労働省)
※「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」(厚生労働省)
※「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(厚生労働省)


