
魚の脂と肉の脂は、どう違うのか?
魚の脂は健康にいいらしいという話は聞くことがあります。
ではもう一方の脂であるブタやウシの脂はどうなんでしょう?
やはり健康にいいのでしょうか、それとも……?
魚の脂は固まりにくく、肉の脂は固まりやすい?
魚の脂であるEPAとDHAは不飽和脂肪酸という種類で、この脂肪酸は透き通っていて、
サラサラしていて、常温で固まりにくい性質があるといいます。
魚が冷たい海の中でも生きて行けるのには、そんな理由があったというわけです。
ではブタやウシなどの脂はどうかというと、飽和脂肪酸という種類で、
魚の脂とは反対に常温で固まりやすい性質があります。
たしかに豚肉や牛肉の脂は、生肉の状態だと白く固まっていますが、
焼いたり煮たりすると脂が溶け出して、フライパンや鍋にギトギトとした脂の膜をつくります。
たとえば前日つくって鍋に残ったままの肉じゃが。
翌朝、鍋のふたを開けてみると、表面に白い脂の固まりがビッシリ……。
溶けて固まった豚肉の脂でしょうか。
ちなみにこの固まった白い脂がラードということなんだと思います。
魚の脂は中性脂肪を減らし、肉の脂は中性脂肪を増やす?
固体が溶け出す温度のことを融点といいますが、
動物の脂の融点は、ほとんどの場合、人間の体温よりも高いらしいです。
つまり、動物の脂は魚とは違って体内で溶けにくいということなんでしょうか?
「動物性の脂肪を食べると血液がネバネバして粘度が増す」という専門家もいるようです。
同じ脂質でも、魚に含まれる不飽和脂肪酸が血液をサラサラにしたり
中性脂肪を減らすなどの効果があるのに対し、
豚肉や牛肉の脂身に含まれる飽和脂肪酸は、中性脂肪を増やすなどといわれます。
主にエネルギー源として使われる飽和脂肪酸ですが、
余ると中性脂肪になって血液中に増えるらしいのです。
中性脂肪が増えると善玉コレステロールといわれるHDLが減るといわれます。
HDLは余分なLDL(悪玉)コレステロールを回収する働きがあるのですが、
HDLが減るとLDLが増えるという悪循環に……。
結果、動脈硬化を招いてしまうというわけですね。
食肉団体も認める魚の健康効果?
もちろん反対意見もあります。
「長生きの秘訣は肉を毎日食べること」とテレビや雑誌などで語る長寿の人もたくさんいらっしゃいます。
公益財団法人日本食肉消費総合センターはHPで
「飽和脂肪酸にも牛肉に含まれるステアリン酸のようにHDLの働きを促し、
LDLを減らすものも見つかっています」と紹介しています。
ただ一方で、同団体のHPでは、やはり魚に含まれるEPAとDHAが
中性脂肪の低下や血栓の防止などに効果的として紹介しています。
1日の摂取量が平成18(2005)年に肉に逆転され、以後、
常に肉の後塵を拝することになった魚ですが、
健康効果については肉を一歩もしくはそれ以上リードしていることは間違いないようです。
<参考URL>
*「EPAは今注目の健康成分です」(ニッスイ/日本水産(株))
*「青魚のサラサラ成分DHA&EP」(サントリーウェルネスOnlone)
https://www.suntory-kenko.com/contents/brands/dha/seibun/shoku_nihon.aspx
*「水産物の消費・需給をめぐる動き」(水産庁)
http://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/H27/pdf/27suisan1-2-3.pdf
*「肉の脂と違い、魚の油が健康に良いのはなぜ?」(日経ビジネスオンライン)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/091500068/121300007/
*「飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸、どこが違う?」(公益財団法人日本食肉消費総合センター)