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健診の前日だけ節制しても意味はある?前日・当日の過ごし方

健診の案内が届くと、「せめて前日くらいは節制しよう」と考える方は多いでしょう。実は、前日の過ごし方が数値に表れる検査と、直前ではほとんど変わらない検査があります。今回は、健診前日・当日の過ごし方について紹介します。

 

答えは「一部の数値には意味がある」

結論から言うと、健診前日の節制は「一部の数値」に対してのみ意味があります。

 

検査の数値は、大きく次の2つのタイプに分けて考えられます。

・直前の食事やお酒の影響をすぐ受ける数値(例:血糖値、中性脂肪)

・日々の生活習慣の積み重ねが反映される数値(例:HbA1c)

 

前日の節制で効果が出るのは、血糖や中性脂肪のように直前の食事で動く数値だけです。HbA1cのように普段の積み重ねが表れる数値は、直前の工夫ではほとんど変わりません。それぞれの理由を見ていきましょう。

 

前日の食事やお酒で動く数値:血糖・中性脂肪・肝機能

健診の血液検査には、空腹の状態で測ることを前提にした項目があります。代表的なのが血糖と中性脂肪です。食事をとると血液中の糖や脂肪が増えるため、食後すぐに採血すると、普段の状態より高い数値が出てしまいます。

 

このため国の特定健診のルールでは、午前中に受診する場合、健診前の10時間以上は水以外の飲食物をとらないのが原則です。あわせて、前日のアルコール摂取と激しい運動を控えることも求められています。

 

お酒は、中性脂肪や肝機能など複数の数値に影響することがあります。筋肉に強い負荷がかかる運動も、血液検査や尿検査の一部の数値を一時的に変動させかねません。前日の過ごし方が数値に出るのは、主にこうした項目です。

 

前日では動かない数値:HbA1cが代表例

一方、直前の努力ではほとんど動かない数値もあります。HbA1cがその代表例です。

 

HbA1cは、血液中の糖がヘモグロビン(赤血球の中で酸素を運ぶタンパク質)と結びついた割合を表す検査値で、過去1〜2か月の血糖の状態を反映します。いったん糖と結びついたヘモグロビンは、赤血球の寿命が尽きるまで元に戻りません。そのため、当日の食事や運動といった短期間の影響は受けないのです。

 

健診の数日前から食事に気をつけても、HbA1cにはほとんど表れません。体重や腹囲も一晩で大きく変わるものではないため、前日の対策で結果が変わるのは、ごく一部の数値に限られます。

 

だから守りたい、前日・当日のルール

数値の条件をそろえるために、前日と当日は次の点を意識しましょう。

 

(1)前日:夕食は21時ごろまで、お酒と激しい運動は控える

前日の夜は、21時ごろまでに夕食を済ませましょう。健診前の10時間以上は水以外を口にしないのが原則なので、21時に食べ終えれば翌朝7時以降の受診に間に合う計算です。

 

メニューは消化の良いものを選び、脂肪分の多い食事は控えましょう。胃のX線検査(バリウム検査)や腹部超音波検査、胃内視鏡検査も食事制限の対象です。

 

お酒は控えて休肝日にし、体を動かすなら散歩や軽いストレッチ程度にとどめましょう。ジムでの追い込みは健診の後の楽しみにとっておくのがおすすめです。

 

(2)当日:朝食はとらず、水・薬に注意

当日の朝は、食事をとらずに受診するのが基本です。水や白湯に限りコップ1杯程度までは飲めるとする健診機関もあるため、のどが渇くときは少量にとどめ、受診案内の指示に従いましょう。午後に受診する場合は朝食を軽めにとどめ、その後は水以外を口にしないことが望ましいとされています。

 

薬を飲んでいる方は、自己判断で中止しないことが大切です。心臓病や高血圧の薬は、早朝に少量の水で飲んでから受診するよう案内されることが一般的です。糖尿病の薬やインスリンを使っている方は、当日の扱いを事前に主治医へ相談しておきましょう。

 

なお、妊娠中または妊娠の可能性がある方は、X線検査を受けられないことがあります。生理中の方も影響が出る検査項目があるため、どちらの場合も健診機関に伝えましょう。

 

健診は「普段の体」を知る機会

厚生労働省の通知でも、健診は自分自身の健康状態を認識できる機会であり、日頃の生活習慣が結果に表れてくるものと位置づけられています。前日・当日のルールは、検査の条件をそろえるための準備です。条件をそろえて測るからこそ、数値の変化を正しく比べられます。

 

健診で見つかる高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は、初期にはほとんど症状がありません。症状がないうちに変化に気づける場として、年に1度の健診が役立ちます。

 

結果が届いたら、昨年の数値と見比べてみましょう。「精密検査を受けてください」といった案内があった場合は、放置せず医療機関を受診することが大切です。前日・当日のルールを守りつつ、普段の生活を映す機会として健診を活用してみてください。

 

<参考>

※「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」(厚生労働省)

※「特定健康診査の検査項目」(生活習慣病などの情報・e-ヘルスネット/厚生労働省)

※「これから健診を受ける方へ」(公益財団法人日本予防医学協会)

※「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)ってなに?」(糖尿病・脂質代謝内科/国立循環器病研究センター)

 

プロフィール

医療ライター/登録販売者
岡本 美紗子

*調剤薬局で医療事務として15年間勤務し、処方箋やレセプトの業務、OTC医薬品の販売に携わる。

*2017年に登録販売者を取得。

*現在はWebライターとして、医療・健康・保険分野を中心に執筆。

*現場での経験を活かし、専門的な内容を日々の暮らしに役立つ形でわかりやすくご提供。