血糖値とHbA1c……どう違うの?
食事のたびに血糖値が気になったり、健康診断を前にして食事に気を使うといった方もいらっしゃるでしょう。
血糖を反映する指標には、血糖値のほかに「HbA1c」もあります。
この2つは、何が違うのでしょう?
血糖値は上昇と下降の繰り返し?
「血糖値が上がった」「下がった」とか、「血糖値が高くて……」など、血糖値に関する話題が口に上ることが、最近、多くなりました。『国民健康・栄養調査(令和5年/厚生労働省)』でも男性の16.8%、女性の8.9%が「糖尿病が強く疑われる」といいます。それだけ血糖値を気にする人が増えてきたということでしょうか。
でも、そもそも血糖値ってなんでしょう。血糖値とは、「血液中のブドウ糖(グルコース)の濃度」(e-ヘルスネット/厚生労働省)の指標のこと。
食事をすると食べ物の中の炭水化物が消化管でブドウ糖に分解・吸収され、血流にのって全身に運ばれます。食事をすると血糖値が上昇しますが、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンによってブドウ糖は体の細胞に取り込まれ、エネルギー源として使われます。
摂取したブドウ糖が過剰になるとグリコーゲンが合成され、肝臓や筋肉、さらには脂肪としても蓄えられるといいます。
健診前の食事制限に意味はある?
血糖値は健康な人でも食事をすれば上がり、時間が経過すれば下がります。
食後の約30分後にいちばん高くなり、約2時間後には食事をとる前と同じ程度にまで数値は下がるといわれています。
このように体の中では「ブドウ糖の供給と消費が繰り返され」ていて、血糖値は「一定のレベルに維持されている」というわけです。
とはいえ、なかには例えば健康診断などで血糖値が高値になるのを懸念して、検査前の数日間、食事を制限したりする人がいるかもしれません。
でも、そうした努力は一時しのぎで、全体として功を奏することはあまりないようです。
血糖値は前記のように食事をとるたびに上がったり下がったりを繰り返しながら、数値は「一定に維持される」ので、検査日の数値が基準値内であったとしても、糖尿病と診断される可能性が「ゼロ」とは判断しにくく、検査日前の食事制限はあまり意味がないといえます。
血糖値と「HbA1c」は何が違うのか?
ほかに血糖値を知る手段の1つに「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」という数値があります。これは「赤血球の中にあるヘモグロビン(HbA)にグルコース(血糖/血液中のブドウ糖)が結合したもの」で、血液中のヘモグロビン全体のうち糖と結合した割合(%)をあらわした数値(e-ヘルスネット)。
血糖値が高いほど「HbA1c」がたくさん生成されるといいます。
血糖値が検査前の食事の影響を受けやすいのに対して、「HbA1c」は過去1〜2か月の平均的な血糖値を反映するので、直前の食事などの影響を受けにくいとされます。「HbA1c」の数値が基準値よりも「高い」ということは、血糖値が慢性的に高いことを示していることから、糖尿病の早期発見や血糖のコントロールに役立つといわれます。
血糖値スパイクには注意!
「HbA1c」を含めて血糖値の上昇を防ぐにはどうすればいいでしょうか?
よくいわれるのが食事。
炭水化物の消化・吸収をゆるやかにして急激な血糖の上昇を予防するために、野菜や海藻類などの食物繊維を毎食、それも最初に食べることが推奨されています。
また、欠食して食事と食事の間が空きすぎないようにします。
空腹のあまり早食い、大食いになり、血糖値の急上昇と急下降を起こし、血管にダメージを与える「血糖値スパイク」の危険があるからといいます。
よくかんで、ゆっくり食べることで血糖値の上昇もゆるやかになるそうです。
血糖値を上げにくい玄米やソバなどの「低GI食品」を選んだり、ラーメンとチャーハンなど炭水化物の重ね食べを避けるのも大切です。
ウォーキングなどの有酸素運動は血糖値を下げるのに効果的だそうです。「食事後の運動」を習慣にするのもいいかもしれません。
外食するときはオフィスや自宅からちょっと離れたお店を選ぶのもその1つの方法です。
結局、やっぱり、ここでも「規則正しい生活」ということなんですね。
<参考>
*「血糖値」「ヘモグロビンA1c/HbA1c」(e-ヘルスネット/厚生労働省)
*「血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」(北海道中標津町公式WEBサイト)
*「血糖値スパイクを予防しよう」(社会福祉法人 恩賜財団 済生会)
*「血糖値とは何か?正常値、上昇する仕組みを分かりやすく解説」(大正製薬株式会社)





