プラスコラム
PLUS COLUMN

猛暑だからこそ注意したい夏の貧血

猛烈な暑さが続く今年の夏。

夏バテだと思っていたら、貧血だったということも多いようです。

夏はなぜ貧血が起こりやすいのでしょうか

その不調は貧血が原因かも

 体がだるい、疲れがとれない、食欲がない、頭痛がしたり立ちくらみすることがある……最近こんな症状に悩んでいませんか? 

「夏バテ?」「熱中症かも」と思われがちですが、じつは鉄分不足による貧血が原因で起こっていることが少なくないといいます。

 でもなぜ夏は貧血に注意が必要なのでしょうか。

汗を大量にかく夏は鉄分不足に

その大きな要因は汗にあります。

汗で失われる成分の多くは水分ですが、水分と一緒に塩分(ナトリウム)やカリウム、マグネシウム、鉄分などのミネラルも一緒に失ってしまうそうです。

日本人は鉄不足だといわれていますが、大量の汗をかく夏は、その他のミネラル分とともに鉄分不足になりやすいといわれています。

また暑いときは食欲不振になりがち。食事から十分な鉄分がとれないことも、鉄分不足に拍車をかけてしまうようです。

女性は鉄分不足による貧血になりやすい

 とくに女性は要注意です。毎月の月経による出血とともに鉄分も失われるために、男性に比べて鉄欠乏性貧血になりやすいことが知られています

 厚生労働省の調査では月経のある20~40代の女性は「かくれ貧血」の人も含めると約65%の人に貧血があるとの報告もあります。

かくれ貧血とは、ヘモグロビン濃度は正常範囲内であるために健康診断では貧血と診断されないものの、体内の鉄分が不足している状態。血液検査で問題がないので気づかないことが多いようです。

鉄分は血液中で酸素を体のすみずみまで運ぶ重要な働きがあります。

鉄分が不足すれば、酸素が体内に十分に行きわたらなくなるためにさまざまな不調が出てくるといわれています。

また女性の場合は、月経の影響だけでなく、偏食やダイエットによる鉄摂取不足も多いといわれています。

熱中症と症状が似ている

 先にお話したように、倦怠感やめまい、頭痛など夏バテや熱中症の症状は貧血の症状に似ているので貧血を見逃してしまう可能性があります。

反対に貧血による不調がある人は「いつもの不調」と思っていたら熱中症だったということも。

また鉄分は体温調節と関係しており、鉄分が不足すると体温調節機能が低下するといわれています。鉄分不足は「熱中症」や「夏バテ」のリスクにもなるそうです。

鉄分不足にならないための食事

夏は、水分補給だけでなく、失われがちなナトリウムや鉄分などのミネラル分の補給も心がけたいですね。

鉄は体内で貯蔵しておくことができないために、毎日の食事から補うことがとても大切です。以下のポイントを心がけましょう。

 

(1)鉄分を上手にとる

食品に含まれる鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。レバー、赤身の肉や魚、貝類に多く含まれる鉄分が「ヘム鉄」です。一方「非ヘム鉄」は豆類や緑黄色野菜、海藻などに多く含まれます。

 植物性の「非ヘム鉄」に比べて、動物性の「ヘム鉄」のほうが鉄分を多く含み、吸収率もよいとされています。

 

(2)たんぱく質やビタミンCもあわせて効果的に

 鉄分の吸収をよくするために、たんぱく質やブロッコリーやピーマンなどビタミンCを含む食品もいっしょにとりましょう。

またタンパク質は吸収率の悪い非ヘム鉄の吸収を高めてくれるそうです。

 

(4)食後はほうじ茶・麦茶がおすすめ

 緑茶やコーヒー、紅茶に含まれるタンニンは鉄の吸収を阻害することがあるそうです。食後のお茶は、タンニンの少ないルイボスティーやほうじ茶などがおすすめです。

 

いかがでしたか。夏こそ意識的に鉄分をとって、猛暑を元気に乗りきりたいです。

 

<参考>

※『ウィメンズ・メディカ』(小学館)

※「貧血・かくれ貧血」

※「暑い季節こそ注意が必要!鉄欠乏性貧血を予防するために」(栄養だより2023年7月号 日本調剤株式会社)

※「夏バテ? 貧血?」(食と健康Lab 太陽化学株式会社)

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。