ガムとグミと咀しゃくと健康と?
ガムが苦境に立たされているようです。代わって人気なのがグミとか。
ガムはこのまま消えていくのでしょうか?
ただガムには、さまざまな健康効果が期待できるといいます。
どういうことでしょう?
苦境を続けるガム市場?
「お口の恋人」といえば、大手お菓子メーカーのキャッチフレーズとして有名ですが、チョコレートやキャンディとともに、「お口の恋人」の代表格ともいえるチューインガムの売れ行きが近年、思わしくないのだそうです。
お菓子メーカーの中にはガム事業から撤退する動きがあるといいます。
日本チューインガム協会の統計によると、2004年に1,881億円でピークを迎えたガムの小売金額は年々減少。2022年にはピーク時の6割以上減の710億円にまで落ち込みました。
理由は、ガムに変わる新しい「お口の恋人」グミの台頭でした。
コロナ禍によりガムからグミに?
グミは販売金額に於いて、ずっとガムの後塵を拝してきたのですが、コロナ禍をきっかけに売り上げを伸ばし、ついにガムを逆転しました(NHKビジネス特集『コロナ禍で明暗 市場逆転 ガムとグミ』より)。
グミの勢力拡大は、在宅勤務の広がりや外出控えがきっかけといいます。
コロナ禍によって人と会うことが減ったおかげで、エチケットとしての口臭予防を考えなくてよくなったことや、眠け覚ましのためにガムを噛む必要がなくなった、マスクをしてガムを噛むとマスクがずれる、といったことがガムの需要減の理由ではないかと専門家は指摘しているようです。
咀しゃくは集中力を高めてくれる?
こうした斜陽傾向のガムですが、実はガムには、口臭予防や眠気覚しといったこと以外にも、噛むことによる健康効果がさまざまあることが知られています。
よくいわれているのが脳の活性化。噛むことで口周りの筋肉の刺激が脳に伝わり、感情や記憶、意欲に関与する脳の前頭前野や海馬が活性化するといわれています。
咀しゃくによって記憶力や集中力がアップすることが実験でも明らかになっているようです。
アメリカ・メジャーリーグの選手が試合中にガムを噛んでいる様子がテレビに映ることがよくあります。
単にガムが好きなのではなく、ガムを噛んで試合への集中力を高めていたんですね。
噛むことは体の健康に不可欠?
さらに噛むことで「幸せホルモン」と呼ばれる脳内伝達物質のセロトニンが分泌されるといいます。咀しゃくは、歩行や呼吸などの「リズム運動」の1つで、セロトニンの分泌を促進することがいわれています。セロトニンが不足すると不安や不眠、集中力の低下などがあらわれるといいます。
ストレスがたまってイライラした状態が続くと、例えば、知らず知らずに煎餅や氷をバリバリ、ガリガリとかじっていませんか?
これは噛むことでセロトニンの分泌を促し、ストレスを軽減していると考えられます。
また、咀しゃくは自律神経を安定させるともいわれます。
ガムを噛むことで小顔になれる?
噛むことで舌の筋肉や表情筋など、さまざまな筋肉が働くといいます。
小顔に憧れる女性が少なくない中、噛むことによって「顔のエラが張るのでは……?」などといった不安を抱く人もいるようです。
でもそのような心配は不要かもしれません。
大手お菓子メーカーのロッテが行った「ガム咀嚼とフェイスラインに関する研究」によると、ガムを噛むことによる咀しゃく筋などへの作用により、フェイスラインの引き締めに影響が認められたということです。
研究は、健康な20~40歳代の女性を対象に行ったもの(2023年6月)。8週間にわたりガムを毎食前に3回(1回10分程度)噛んでもらった結果、ガムを噛んだグループには、噛まなかったグループよりもあごのフェイスラインの引きしめ効果が認められたそうです。
今後、「健康」をキーワードにガムの巻き返しはなるでしょうか?
<参考>
*「コロナ禍で明暗 市場逆転 ガムとグミ」(NHKビジネス特集/ 2023.4.6)
*「ガムを『噛む』ことによるさまざまな作用」(独立行政機構 農畜産業振興機構)
*「噛むこと研究室」「ガムを噛むことにより、フェイスラインが引き上がることが明らかに!」(株式会社ロッテ)