更年期に起こりやすい「メノポハンド」をご存知ですか?
更年期症状といわれてまず思い浮かぶのが、ホットフラッシュや動悸、イライラなどの不調かもしれません。
けれども多くの人が悩んでいて、意外と知られていないものに手の不調があるそうです。
更年期女性に多い手の不調
「メノポハンド」という言葉をご存知でしょうか?
英語で「更年期の手」を意味する「メノポ―ザルハンド」を略した言葉で、2022年に日本手外科学会が命名したそうです。
更年期世代は、手指の痛みやこわばり、しびれ、変形などの症状に悩まされることが少なくありません。
更年期に起こる手の不調について大塚製薬株式会社が行った「更年期の手指の不調に関する意識調査(50歳~64歳の女性207名を対象)」が新聞で報じられていました(東京新聞2024.11.19)。
それによると更年期症状を感じている女性のうち、7割が「手指の不調」を自覚していることがわかりました。
また手指の不調を自覚している人のうち、「医療機関の受診経験がある人」は3割程度にとどまり、受診しない理由として「受診するほど重症ではないと思う(55%)」や「日常生活に支障が出ていない(34%)」などがあがっていました。
女性ホルモンの減少と深い関係が……
一方、せっかく医療機関を受診して、レントゲンなど画像検査を行っても更年期の手の不調にあきらかな異常がみられないことがあるそうです。
そのため「年齢的なもの」「手を酷使し過ぎたせい」などといわれることも多く、結局不調をがまんしてしまうケースも少なくないようです。
更年期と手の不調は無関係なように思えるかもしれません。
けれども女性ホルモンのエストロゲンは組織を滑らかに保ったり腱の保護作用などがあることが知られています。
エストロゲンが急激に減ってこの働きが低下すると、腱や腱鞘、神経の周りにある滑膜(かつまく)などが腫れて、手指の痛みやこわばり、腫れなどを起こしやすくなるといわれています。
放置しておくと症状がさらに悪化したり、指の変形につながっていくそうなので、注意が必要です。
早めに専門医を受診して
また、更年期と関連があるといわれている「手の病気」としては、他に「腱鞘炎(けんしょうえん)」をはじめと「ヘバーデン結節(指の第一関節が腫れて変形する)、母指CM関節症(親指の付け根のCM関節に痛みや変形が生じる)、手根管症候群(人差し指、中指にしびれや痛みが出て、やがて親指から薬指の半分もしびれる)などがあるそうです。
手に起こる違和感や不調は放っておくと重症化して治りにくいといわれていますから早めの受診が大切です。
気になるときは、手のケガや病気を専門とする「手外科」を受診するとよいかもしれません。
一般社団法人 日本手外科学会ではホームページで全国の手外科専門医名簿を公開しています。参考にしてください。
<参考>
※「更年期の手の不調 治療早めに」(東京新聞 2024.11.19)
※日本手外科学会ホームページ
※「手・関節の症状」(日本整形外科学会)
※『ウィメンズ・メディカ』(小学館)
※「それって「メノポハンド」かも? 更年期女性に多い“手の変形や指の痛み” 専門家に対処法を聞いた」(福井テレビ newsイット 2024.06.17)