プラスコラム
PLUS COLUMN

セルフケアで頻尿を改善しよう!

頻尿は、軽い場合なら特別な治療をしなくても、日常生活の見直しとトレーニングで改善されることが多いもの。まずはセルフケアからはじめましょう。

骨盤底筋を鍛えよう!

頻尿や尿もれ、子宮や膀胱などが下がってしまう性器脱など、女性の尿トラブルのいちばんの原因は、骨盤底筋(膀胱、尿道、子宮、直腸などを支えている骨盤の底にある筋肉群)の弱まりです。
健康な骨盤底筋は、自分の意思でキュッと締めたり大きくゆるめたりすることができます。ところが、過活動膀胱の人は骨盤底筋を締められないことが多く、反対に間質性膀胱炎の人は、骨盤底筋をゆるめられないことが多いのです。
頻尿のセルフケアの第一歩は、まず、この骨盤底筋を鍛えることから始めましょう。軽い頻尿や尿もれなら、骨盤底筋を鍛えるだけで治すことができます。
 また、骨盤底筋は年齢とともに衰えていきますから、加齢とともに頻尿や尿もれになるリスクは誰にでもあります。今はまだ尿のトラブルがない人も、予防の意味で骨盤底筋体操を始めて毎日の習慣にしましょう。

<骨盤底筋体操>

骨盤底筋体操は、簡単に言うと自分の意思で腟や肛門を動かすトレーニング。まずは、基本動作をマスターして、慣れてきたら日常生活の中に取り入れて習慣化しましょう。

■基本動作

姿勢を正しくして立ち、片手をおなかとおしりにそれぞれあて、次の要領で腟と肛門を締めたり、ゆるめたりしましょう。

・体によけいな力を入れないで、腟と肛門を軽くキュッと締めたり,ゆるめたり。これを2~3回繰り返す。

・今度は、ゆっくりギューッと締めたり、ゆるめたり。これを2~3回繰り返す。

・骨盤底筋全体を体の中に引き込むように、ゆっくりグーっと持ち上げて、次にゆっくりゆるめる。これを2~3回繰り返す。

基本のポーズ

 

■応用編

慣れてきたら、いろいろな姿勢で行って日常生活の中に取り入れましょう!

テーブルを利用して

オフィスのデスクやキッチンのテーブルに手をついて立った状態で

 

椅子に座って

バスや電車の中で座った状態で

 

 

新聞を読みながら

床に新聞や雑誌を広げ、膝と肘をついた姿勢で

 

 

ベッドや布団の中で

毎朝ベッドや布団の中で仰向けに膝を曲げた姿勢で

 

膀胱訓練をしよう

尿もれを恐れるあまり、早め早めにトイレに行くクセがついてしまうと、膀胱が小さくなったり過敏になったりして膀胱にたくさんの尿をためることができなくなります。そうなると、さらに頻尿が悪化するという悪循環に陥ります。
尿意を感じたときに強い下腹部痛が起こらなければ、膀胱に尿をためる練習を少しずつしていきましょう。
最初は、5分くらいトイレに行くことをがまんすることを、1週間くらい続けてみましょう。尿意は、骨盤底筋体操を行いながらがまんすると効果的です。トイレに行きたいと思うたびに行うのではなく、1日数回、自分が無理なくできる範囲で実行してください。そして、10分、15分と少しずつがまんする時間を延ばして、数カ月かけて、1日の排尿回数が7~8回になるようにコントロールできれば目標は達成です。

尿トラブルに影響のある、飲みもの・食べ物に気をつけて

頻尿を悪化させる飲みものや食べ物があります。たとえば、アルコールやコーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶などカフェインの含有量が多い飲みもの、コーラなどの炭酸飲料、柑橘系のジュースなどは、避けたほうがよいでしょう。食品では、チョコレートやチーズ、ナッツ類、納豆などの豆加工品、酸味の強いもの(トマト、酢、柑橘類など)に気をつけて。
ただ、食事は栄養バランスが大事です。これらの飲みものや食べ物は、絶対禁止と制限せずに、調子が悪いときや外出する前は控えるようにすればよいでしょう。

また、夏場でもなるべくあたたかいものをとるようにしましょう。

プロフィール

関口 由紀 先生
泌尿器科
関口 由紀 先生

1989年山形大学医学部卒業。
横浜市立大学医学部泌尿器科助手、横浜市立市民総合医療センターなどを経て、2007年横浜市立大学大学院医学部泌尿器病態学修了、客員准教授。
現在、横浜市立大学医学部付属病院で、女性泌尿器科外来を担当。
2005年4月より、『横浜元町女性医療クリニック・LUNA』を開設。
2008年6月 婦人科を分院し、女性医療クリニックLUNA・ANNEXを開設。
2009年5月 骨盤底トレーニングンターとして、併設していたLUNA治療院を拡大。
現在は、それぞれに女性院長を立て、その中心となる理事長として、世界標準の女性医療を目指す、新しい日本の女性医療の拠点作りを行っている。
医学博士、経営学修士