プラスコラム
PLUS COLUMN

意欲アップにかかわる「ドーパミン」とは?

「やる気が起きない」「新しいことに興味がわかない」……最近、そんな感じ、ありませんか? 

「ドーパミン」という脳内ホルモンの欠乏がかかわっているらしいのですが、どんな物質なのでしょうか?

「やる気」が出ないときはドーパミン不足?

ドーパミン(ドパミン)とは「神経伝達物質の1つで、快く感じる原因となる脳内報酬系の活性化において中心的な役割を果たしている」(e-ヘルスネット/厚生労働省)物質なのだそうです。

ドーパミンは、やる気や幸福感、喜びなどを感じさせることから「幸せホルモン」などとも呼ばれているようです。

「やる気が出ない」「物事に興味がわかない」など、なんとなく気持ちがスッキリしない、心の不調を感じるといったようなときは、この脳内ホルモンの1つドーパミンが不足しているのかもしれません。

 

やる気や幸福感をもたらすドーパミン

脳内ホルモンといわれる神経伝達物質は、数十種類から100種類以上あるといわれ、気分や集中力、記憶力、怒りなどに関係している物質として知られています。

なかでもドーパミンは快楽物質と呼ばれ、楽しいことを考えたり、目標を達成したり、褒められたりした時などに分泌されるそうです。

ドーパミンの分泌が活性化すると、意欲が高まり、仕事や勉強の効率が上がり、達成感や快感、喜びをもたらしてくれるといいます。

私たちが生きていく上で必須の「やる気」を促し、「幸福感」をもたらしてくれる物質がドーパミンというわけです。

昔からいわれる「褒めて育てる」にはちゃんと意味があったのですね。

逆にドーパミンが不足すると「意欲の低下」「関心や興味の減退」「仕事や学習能率の低下」などを招き、幸福感が下がってしまうそうです。

 

「ごほうび」はドーパミンを活性化させる?

ドーパミンを活性化させるよい方法はあるでしょうか?

「ごほうび」が効果的とよくいわれています。

例えば「がんばった自分へのごほうびにおいしいものを食べよう」「欲しかった洋服を買おう」「温泉に行こう」など、ほうびを設定するとドーパミンが活性化するそうです。

でも案外この「ごほうび」方式、自分を奮起させるために、ふだんから実践している人も多いのではないでしょうか。

他にも、旅行を計画する、好きなアーチストのコンサートチケットを予約する、宝くじを購入するなど、この先何かいいこと、楽しいことがあると感じたり、予測したりするときもドーパミンが分泌されるといわれます。

また、好きな音楽を聴いているときや、パターン化した毎日に変化をつけることでも脳が活性化するそうです。

通勤手段や経路を変える、楽器や絵の習い事をする、花や野菜を育てるなど、新しいことにチェレンジするのもいいとされています。

 

報酬系に隠された依存症のリスク

ただ、ドーパミンにはいいことばかりでなく「報酬系」ならではの危険な落とし穴もあるようです。

例えばギャンブル。

報酬が期待できることからドーパミンが活性化して快感を味わえます。

すると脳はそれを学習して報酬と快感の結び付けや長期記憶の形成がなされ、再びギャンブルをしたくなるといいます。

ドーパミンは不足しても過剰になっても問題がある物質と考えられ、過剰になるとギャンブルやアルコール依存症、ゲームに買い物、スマホ依存症など、さまざまな依存症に関係するといいます。

脳への刺激も「ほどほど」が大事なようです。

 

<参考>

*「ドパミン」(e-ヘルスネット/厚生労働省)

*「神経伝達物質の謎」(公益財団法人 テルモ生命科学振興財団)

*「ココロとカラダに幸せホルモンのご褒美を」(朝日新聞Reライフ.net)

*「幸せホルモンには種類がある!出し方を学ぼう!」(健康管理検定:文部科学省後援)

*「ギャンブル依存症について」(公益社団法人 日本薬学会)

 

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。