
「やせたい」きっかけは他人からの言葉?
健康への影響が懸念される若い女性の「やせ」問題。「やせたい」と思うきっかけは、多くが体型に関しての他の人からの嫌な言葉にあるようです。
そんな「やせたい」女性の心の内をある調査から探ります。
若い女性の5人に1人が「やせ」
「国民健康・栄養調査 令和元(2019)年」(厚生労働省)によると、20〜29歳の女性の5人に1人、20.7%が肥満度を表す体格指数がBMI18.5未満の「やせ」といわれています。
「健康日本21(第二次)」の目標値である20%を上回っている状況です。
そんななか内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の1つとして、順天堂大学を中核に産官学で若い女性の「やせ対策」に取り組むために『マイウェルボディ協議会』がこのたび発足しました。
それに伴い同協議会は全国の16歳から23歳の女性1,000人を対象に「やせ」に関する調査を行いました。
彼女たちは「やせ」に対してどんな意識をもっているのでしょう。
やせたら「自分に自信が持てる」が5割以上
若い女性の多くは、やせる必要がないのに「やせたい」願望をもっているといわれています。
同協議会の調査でもそんな意識が反映されているようです。BMIが18.5以上25.0未満の「ふつう」体重以下であるにもかかわらず、自分は「太っている」と思っている人が全体の53.4%もいました。
さらに、ふつう体重の彼女たちの「やせ行動」のきっかけでいちばん多かったのは「やせると自分に自信が持てると思ったから」で53.2%でした。
他には「やせたら今よりきれいになれると思った」(46.3%)、「まわりの友達と比較して太っていると感じた」(36.0%)、「憧れのアイドルやモデルのような体型・スタイルになりたいから」(27.9%)などがあります。
また、SNSやテレビなどからの「やせ」や「ダイエット」情報にふれることが「やせ願望」のきっかけになることも改めて示されました。
「やせ型」の約3割が現在ダイエット中
「やせる」と「きれいになれる」「自分に自信がもてる」という意識もあってでしょうか、同調査によるとBMIが「ふつう」の人の35.1%が過去にダイエットの経験があり、51.3%が現在ダイエット中と答えています。
さらにBMIが18.5未満の「やせ」ている人でも、33.5%がダイエット経験者で、28.6%が現在ダイエット中ということです。
こうした誤ったダイエットの背景には「適切な体型についての認識不足や、『やせているほうがいい』という価値観の普及、氾濫した様々なダイエット法などが影響を及ぼしている」と厚生労働省のe-ヘルスネットでは指摘しています。
家族からの嫌な言葉がきっかけ?
BMIが25.0未満の「ふつう」体重にもかかわらず、16~23歳の彼女たちが「やせたい」と思ったきっかけはなんだったのでしょう?
調査によると47.5%が「体型に関して他人から嫌なコメントをされた」経験があるといいます。
なかでも「母親から」という答えがいちばん多く30.6%。次いで「きょうだい」が16.0%、「父親」12.5%、「祖父母」6.7%と続きます。
感受性の強い年代だけに、何気ない家族のひとことが強く、重く響いたのかもしれません。
「やせ願望」が深刻化すると
若い女性の「やせ」による健康リスクは、貧血や月経機能の低下、骨粗しょう症、筋力の低下、さらには糖尿病など、さまざまいわれています。
「e-ヘルスネット」によれば、誤った「やせ願望」が深刻化すると、「食事のコントロールがむずかしい」とされる拒食症や過食症などの摂食障害を招くおそれがあるとも指摘されています。
自分の適性体重を知り、やせる必要があるかを理解し、ネット情報に惑わされず、誤った「やせ願望」を持たないようにすることが大切だそうです。
<参考>
*「日本の女子高生・女子大学生における痩せ行動とその影響に関する調査」(マイウェルボディ協議会)
*「若い女性の『やせ』や無理なダイエットが引き起こす栄養問題」(厚生労働省 e-ヘルスネット)
*「摂食障害とはどんな病気?」(京都府精神保健福祉総合センター)