赤ワインがポリフェノールの名を広めた?
今では多くの人の知るところとなったポリフェノールですが、そのきっかけは、フランスにあるようです。
フランスとポリフェノール、どんな関係なのでしょうか?
「フレンチ・パラドックス」とは?
かつて「フレンチ・パラドックス」といわれていました。
「フランス人の逆説」「フランスの矛盾」とでもいうのでしょうか。
フランスはいわずと知れた美食の国。フランス人は肉はもちろん、バターや生クリーム、チーズなどの動物性の脂肪を多く摂取している……にもかかわらず他のヨーロッパ諸国に比べて心臓病による死亡率が低い……なぜなのか?
「赤ワインをたくさん飲むからではないか」と考えられました。
1990年代、今から30年ほど前の話といわれています。
赤ワインのポリフェノールが作用?
赤ワインにはポリフェノールの一種のレスベラトロールという物質が含まれています。
レスベラトロールは黒ブドウのタネや果皮に多く含まれていて、抗酸化作用にも優れているといわれています。
そして赤ワインはブドウを丸ごと使います。
そんなことから「フランス人は赤ワインを飲んでいるので心臓病が少ない」といわ
れるようになったようです。
こんな出来事をきっかけにポリフェノールは多くの人に知られるようになったといわれています。
植物の渋みや苦みにある「抗酸化作用」
ポリフェノールが含まれている食品には、お茶をはじめ、コーヒー、チョコレート、大豆、トマトなど、おなじみの食べ物がたくさんあります。
しかし、そもそもポリフェノールとは何者なのでしょう?
ポリフェノールはほとんどの植物がもっている苦味や渋み、色素の成分で、化学構造の違いによって約8000種類ものポリフェノールが自然界に存在するといわれています。
主なものにカテキン、アントシアニン、カカオポリフェノール、ルチン、コーヒーポリフェノール、イソフラボンなどがあります。
ポリフェノールの特徴は、活性酸素の働きを抑える抗酸化作用です。
酸化で傷ついた細胞を修復
活性酸素とは「呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部が、通常よりも活性化された状態になること」(e-ヘルスネットより)。
通常、体内では活性酸素の発生と抗酸化防御機構のバランスが取れているのですが、紫外線、喫煙などにより、そのバランスがくずれて活性酸素が過剰になると、正常な細胞を傷つけてさまざまな病気の要因をつくってしまうといいます。
抗酸化作用(能力)とは、活性酸素の働
きを抑え、傷ついた細胞を修復することで細胞の修復と再生を促すことをいうそうです。
動脈硬化の予防に効果あり?
ポリフェノールの健康効果は種類によってさまざまです。
たとえば、カカオポリフェノールを含むチョコレートには、血管を広げて血圧を下げる効果があるとされます。
さらにLDL(悪玉)コレステロールの酸化を抑え、血管をしなやかにすることによって動脈硬化の予防が期待できるといわれます。
緑茶に含まれるカテキンはLDLコレステロールの低下、血糖の上昇を抑えるなどの効果があるとされ、ソバに含まれるルチンには毛細血管を強くし、血流を良くする働きがあり脳血管疾患の予防に役立つといわれます。
体の抗酸化力を高める
ポリフェノールは水に溶けやすいという特徴があるとされます。
血液中のポリフェノールは摂取後、数時間で消えてしまうといわれ、毎日こまめに摂取する必要があるそうです。
ポリフェノールの1日あたりの摂取量についての基準はないようです。
過剰な量の摂取を避け、ポリフェノールを含むさまざまな食品をバランスよく摂取して、体の抗酸化力を高めることが大切といわれます。
<参考>
*「ポリフェノールの種類と効果と摂取方法」(公益財団法人健康長寿ネット)
*「教えて、先生!ポリフェノールってなに?」(株式会社伊藤園)
*「活性酸素と酸化ストレス」(e-ヘルスネット/厚生労働省)