眠くなくてもあくびがでるのは、なぜ?
眠いときのあくびは仕方ないとしても、会議など大事なときに、なぜか「ふぁうぁ~」なんてことありますよね。
いったん始まると、すぐにはかみ殺せないだけに厄介でもあります。
そんなあくびの正体とは?
脳の酸素不足を解消するため?
あくびの原因でもっとも多いのは睡眠不足といわれますが、ほかにも例えば退屈なとき、疲れたとき、満腹のときやおなかが空いたときなどに、あくびはいきなり、前触れなしに出ます。
あくびは意識とは関係なく出る不随意運動だそうです。
そもそもどうしてあくびは出るのでしょうか?
「血液中の二酸化炭素の濃度が高くなると、呼吸中枢が刺激され、あくびによって空気を吸い込み酸素を補給する」……かつては定説のようにそういわれていました。
ただ、あくびをしても吸い込まれる空気の量はさほど変わらず、血中の酸素濃度も上昇しないともいわれ、ことの真偽は定かではないようです。
じつはあくびの正体は、はっきりと分かっていないのだそうです。
脳を冷やして頭の働きをよくする?
「脳の覚醒を促す」という説もあります。
あくびをすると大きく口をあけ、手足を伸ばしますが、このことで脳への血流が増え、同時に口や鼻から冷たい空気を吸い込むことで脳を冷やして覚醒させ、頭の働きをよくするというのです。
朝、目覚めたときや、疲れたとき、眠いときや退屈したときなどに、低下した脳の働きをあくびで目覚めさせ、意識をはっきりさせるのです。
極度に緊張した状態のときもあくびが出るといわれます。
頭を冷やすとあくびが出にくくなったり、冬の寒い時期、外から暖かい部屋に入るとあくびが出やすくなったりといったこともあるらしいです。
あくびがうつるのは共感性が関与?
「あくびはうつる」とよくいわれます。
あくびが伝染する理由はよく分かっていないようです。
ただ、知らない人よりも、知人、友人、家族といったように、相手が親しい関係の人になるほど、あくびがうつりやすいといわれています。
あくびの伝染は、共感や関心の度合いが深く関与しているといわれています。
また、イヌが飼い主のあくびにつられて、あくびをすることもあるようです。 あくびのうつりやすさには、絆の強さも関係しているといわれます。
人間以外には、チンパンジーやオオカミなど社会性の高いといわれる動物では、仲間同士であくびがうつるらしいのですが、それもまだよく分かっていないようです。
なぜ、あくびをすると涙が出るの?
あくびは、親しい人のあくびを見るだけでなく、なかにはあくびをするときの音を聞いたり、あくびについての記述を本などで読んだりしても、うつることがあるそうです。
あくびは、まだまだ未解明な部分が多い、不思議な現象といえます。
ところで、あくびをすると涙も一緒に出ますよね。なぜでしょう?
あくびをするときに、たいていの人は大きく口をあけたり、目をつむったり細めたりします。あくびによって顔の筋肉が大きく動くと、目と鼻の間にある涙のう(涙をためる袋)が刺激されて涙が出てくるのだそうです。
ちなみにあくびは漢字で「欠伸」と書きます。
あくびをして背伸びをする意味です。「欠」の字は「口を大きくあけてする動きを表す」といわれ、歌、飲、吹、歓などの「旁(つくり)」に使われています。
<参考>
*「あくびはなぜ出る?」(yomidr.ヨミドクター)
*「なぜあくびが出る?」(日本経済新聞/2010.8.7)
*「何のためにあくびは出るの?」(学研キッズネット)
*「なぜ近くの人があくびをすると、自分もしてしまうの?/あくびをすると、なぜ涙も出るの?」(毎日小学生新聞/2023.2.6)