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健診結果で異常が分かったら?

健康診断(健康診査)はなんとなく受けるだけ。結果が出ても流し見るだけ……そんなことありませんか?  

健診結果に異常が見つかっても放置する人が多いといいます。あなたはどうしてますか? 

 

過去1年間に健診を受けた人は約7割 

 多くの場合、健診は年に1回、会社や自治体などから受診の案内がされるようです。健診は現在の体の状態を知るよい機会といえます。 

ただ、なかには自覚症状がないから受けないという人もいるようです。 

 厚生労働省の「令和元年(2019)国民生活基礎調査」によると、過去1年間に健診や人間ドックを受診した人(20歳以上)は69.6%(男性74.0%、女性65.6%)でした。目標値の80%に10ポイント余り及びませんでした。 

 年代別でいちばん高い受診率を示したのは50代で77.4%(男性81.8%、女性73.2%)。高齢になるほど受診率は低下。80歳以上は53.3%でした。 

 

健診結果での異常、6割以上が未受診? 

 健診は受けて「終わり」ではなく、その後の健診結果をしっかり確認することが大切です。 

なかには結果書類の所見や検査数値をきちんと見ることなく、全体をサッと流し見るだけですましてしまう人もいるようです。 

全国健康保険協会(協会けんぽ)と国立国際医療研究センターの調査(35歳〜74歳の男女約41万人対象)によると、健診結果に高血圧や脂質異常、高血糖などの異常が認められても医療機関を受診(12か月以内)しない割合は66%だったということです。 

また、3か月以内の受診が17%、4〜6か月の受診が7%、7〜12か月以内の受診は10%でした。 

 

血圧などの高リスクの男女を対象に調査 

 さらに研究は、健診で血圧(上が160以上か下が100以上)や血糖値(空腹時血糖が130以上またはHbA1c7.0以上)、LDLコレステロール(180以上/男性のみ)、尿蛋白(+2以上)などで異常が認められた高リスクの人の健診後の受診の有無と、循環器系の疾患による入院や死亡のリスクとの関連についても調べています。 

 それによると高リスクの人が健診後、早めに医療機関を受診した場合、受診しなかった人と比べると、脳卒中、虚血性疾患、心不全など、循環器系の疾患による入院や死亡のリスクの割合が減少する傾向がみられたといいます。 

 

早期受診で入院、死亡リスク低下 

たとえば入院リスクについては、健診後3か月以内に医療機関を受診した場合、受診しなかった人と比べて、脳卒中では35%、虚血性心疾患では8%、心不全では49%、それぞれ減少したといいます。 

 同様に4〜6か月以内では、脳卒中27%、虚血性心疾患8%、心不全39%と入院リスクが減少しています。入院リスクの低下は脳卒中、心不全でとくに顕著のようです。 

 死亡リスクについても同じように、健診後の早めの受診による減少が示されています。 

 健診結果に現れた数値の異常は体からのヘルプサイン。「もっと早く受診しておけば……」なんてことにならないようにしたいですね。 

 

<参考> 

*「生活習慣病の重症化ハイリスク者における医療機関受療による予防効果に関するコホート研究」(国立国際医療研究センター・全国健康保険協会) 

*「健診で異常発見 すぐ病院行こう」(東京新聞/2024.3.6 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。