おしっこが教えてくれる体のあれこれ
体からはいろいろなものが液体や固形などに姿を変えて排泄されます。おしっこもその1つ。でもただの「水」ではありません。毎日、体の様々な情報を教えてくれる健康定期便。
自分のおしっこを観察していますか?
呼び方も多様な「おしっこ」
主に医学用語としての呼び名は「尿」ですが、俗語や幼児語として「おしっこ」とか「シッコ」、一般的には「しょうべん(小便)」「ションベン」などと呼んでいます。
病院を受診したときや健康診断では、ちょっと上品めかして「おしょうすい(お小水)」などとも呼ばれています。
古くは「ゆばり」とか「いばり」「ゆまり」などといっていたようです。
これほどたくさんの名称があるのは愛されていた証拠でしょうか。
「おしっこ」の原料は汚れた血液?
そんな「おしっこ」ですが、もともとは体をめぐって腎臓に集められた汚れた血液がもととなっています。
老廃物が混じった血液は腎臓で濾過され、体に必要な栄養素を再吸収するのですが、取り除かれた老廃物や毒素、余分な水分などが「おしっこ」となって排泄されます。
おしっこの生産量は1日当たりおよそ1.5リットルといわれています。成分の90パーセント以上は水分で、残りは食塩、尿素、アンモニアなどの老廃物だそうです。
コップ1杯半ほどたまると尿意を感じる
おしっこは尿管を通って膀胱にためられますが、すぐには排泄されません。
一定の量まで膀胱にためられ、おしっこが膀胱にいっぱいになると脳に信号が送られ、尿意を感じてトイレに行きたいと思います。
尿意を感じるおしっこの量は、一般に250〜300ミリリットルといわれます。コップ1杯半くらいでしょうか。1日に5~7回くらいの回数でおしっこを排泄するといわれます。
1日に何回排尿するかは個人差があるようです。水分の摂取量や気温、気候によっても変わるともいわれます。
おしっこは体の変調を知らせるセンサー
おしっこは回数や量のほか、色や匂いなどで体の状態を推測するための情報を教えてくれるといいます。
排尿が近いとか回数が多いときは頻尿が疑われ、量が多い場合は多尿、少なければ乏尿などが考えられるといいます。
健康な人のおしっこの色は、淡黄色から単黄褐色、匂いもほとんどしないといわれます。
また、朝起きたときや運動したり暑くて汗を多くかいたときは、少し濃い色のおしっこが出るようです。逆に水をたくさん飲んだときや汗をあまりかかないときは淡い色のおしっこになるようです。
おしっこの色や匂いは生活習慣や体調、食事、飲んでいる薬などによっても変化するといわれています。
トイレ後のおしっこはすぐに流さないで
こんなふうにおしっこは自分の体の状態に敏感に反応して、変調をすぐに教えてくれる優秀なセンサー。
排尿した後、すぐに水洗のレバーを回して流してしまわず、自分のおしっこを観察する習慣をつけましょう。
ところで大事な会議や商談、試合の前などに尿意をもよおすことがあります。 全身の筋肉が緊張して、膀胱を圧迫するためなのだそうです。ストレスの多い人、神経質な人に多く見られるといいます。
また、夜、寝るとき、ふとんに入ったとたんにトイレに行きたくなることもあります。横になることで膀胱を圧迫することが原因ともいわれます。
「持つべきは友、知るべきはおしっこ」……でしょうか?
<参考>
*「知ってなっとく からだの疑問」(小学館)
*「『尿』で知る腎臓の病気」(大塚製薬株式会社)
*「自分自身の排尿の状態を知ろう」(沢井製薬株式会社)